社会保障制度改革推進法案(要旨)
*社会保障制度改革推進法案は、民主、自民、公明が合意し衆議院を通過させた。現在、参議院で審議中である。法案要旨を掲載する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るため、社会保障制度改革について、その基本的な考え方その他の基本となる事項を定めるとともに、社会保障制度改革国民会議を設置すること等により、これを総合的かつ集中的に推進することを目的とする。
(基本的な考え方)
第二条 社会保障制度改革は、次に掲げる事項を基本として行われるものとする。
一、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していく。
二、社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現する。
三、年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てることを基本とする。
四、社会保障給付に要する費用に係る国及び地方公共団体の負担の主要な財源には、消費税及び地方消費税の収入を充てる。
(国の責務)
第三条 社会保障制度改革に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有する。
(改革の実施及び目標時期)
第四条 この法律の施行後一年以内に、社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずる。
第二章 社会保障制度改革の基本方針
(公的年金制度)
第五条 年金記録の管理の不備に起因した様々な問題への対処、社会保障番号制度の早期導入を行う。
(医療保険制度)
第六条 健康保険法、国民健康保険法、その他の法律に基づく医療保険制度に原則として全ての国民が加入する仕組みを維持するとともに、次に掲げる措置その他必要な改革を行う。
一、 健康の維持増進、疾病の予防及び早期発見等を積極的に促進するとともに、医療従事者、医療施設等の確保及び有効活用等を図ることにより、国民負担の増大を抑制しつつ必要な医療を確保する。
二、 医療保険制度については、財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図る。
三 、医療の在り方については、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備する。
四、 今後の高齢者医療制度については、必要に応じて、社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得る。
(介護保険制度)
第七条 介護保険の保険給付の対象となる保健医療サービス及び福祉サービス(以下「介護サービ
ス」という)の範囲の適正化等による介護サービスの効率化及び重点化を図るとともに、国民の保険料に係る負担の増大を抑制しつつ必要な介護サービスを確保する。
(少子化対策)
第三章 社会保障制度改革国民会議
(社会保障制度改革国民会議の設置)
第九条 内閣に、社会保障制度改革国民会議を置く。
(組織)
第十条 国民会議は、委員二十人以内をもって組織する。
2 委員は、内閣総理大臣が任命する。
3 委員は、国会議員を兼ねることを妨げない。
附則
(生活保護制度の見直し)
第二条
一、不正な手段により保護を受けた者等への厳格な対処、生活扶助、医療扶助等の給付水準の適正化、保護を受けている世帯に属する者の就労の促進その他の必要な見直しを早急に行う。
以上