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2015年2月6日

社会保障審議会介護給付費分科会で介護報酬見直し案を了承


 社会保障審議会は6日、介護給付費分科会を開催し、2015年介護報酬改定に向けた厚労大臣からの諮問案に対し了承する旨の報告案を了承した。なお、居宅療養管理指導費の改定は行われない。

以下に本日の概要と配布された資料を紹介する。

【資料】(厚労省ホームページに公表されたPDFに差し替えました)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000073442.html

議事次第(PDF:49KB)
社会保障審議会介護給付費分科会委員名簿(PDF:98KB)
資料1-1 平成27年度介護報酬改定の概要(案)(改)(PDF:892KB)
資料1-2 平成27年度介護報酬改定の概要(案)骨子版(PDF:2.5MB)
資料1-3 平成27年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案(改)(PDF:7.3MB)
資料1-4 介護報酬の算定構造(案)(PDF:2.4MB)
資料2 介護保険審査支払システムの対応について(PDF:515KB)
諮問書(PDF:7.2KB)
報告(PDF:26KB)
参考資料1 平成27年度介護報酬改定に関する審議報告(PDF:809KB)
参考資料2 鈴木委員提出資料(PDF:147KB)
答申(PDF:24KB)

【概要】

1.マイナス改定に批判が集中

2015年度介護報酬改定の概要(案)の中で、全体の改定率をマイナス2.27%(在宅分▲1.42%、施設分▲0.85%)とすることを踏まえ、介護職員処遇改善加算といった加算を手厚くする一方で、基本報酬は引き下げる案を示した。
マイナス改定に対して多くの委員から批判が出された。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)からは、「介護職員処遇改善加算を手厚くしたことは評価できるが、マイナス改定は非常に残念」と述べ、マイナス改定を批判。田部井康夫委員(認知症の人と家族の会理事)も、「1月27日に発表された『新オレンジプラン』で認知症施策を国家戦略としたのは大変いいことだが、このプランが掲げる医療・介護の充実とマイナス改定は矛盾している。介護職員へしっかりとした待遇があって利用者は安心してサービスを受けられる。厚労省はどういった姿勢なのか」と問いただした。事務局は「今次改定は中重度者・認知症対応強化と、介護人材確保対策の推進、サービス評価の適性化等の3本柱で対応した。処遇改善やサービス向上、経営の実態を考慮した報酬の設定となった」と回答。
マイナス改定の根拠のひとつとされた特養の内部留保については、「経営実態調査は実態に即していない」(東憲太郎委員・全国老人保健施設協会会長)といった意見や、「すべての特養で内部留保があるわけではない」(村上勝彦委員・全国老人福祉施設協議会副会長)など、の指摘が出された。
なお、大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長・高松市長)からは、「今後の高齢化社会を考えると、限られた財源でどう制度を維持していくかが大切だ。今回の改定はメリハリがきいている。ただ、介護保険料は上昇するのではないか」と述べ、改定率がマイナスでも介護保険料は上がるとの見解を示した。また本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)からは、「今後給付対象者は増え、2号被保険者は減っていくと介護保険が崩壊してしまう。今回の改定は適性化の方向性が示されたという点で評価できるのではないか」と述べ、マイナス改定を支持した。

2.処遇改善加算の上乗せ評価について

処遇改善加算について現行の3段階のさらに上の加算を設けることは、賛否が分かれた。処遇改善加算が手厚くされることに賛成の意見が出された一方で、「処遇改善のもとは基本報酬だ。加算を上げても、基本報酬が下がれば相当な影響があるのではないか」(平川則夫委員・日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉局長)との意見や、「処遇改善加算ではなく、給料を上げてほしい」(村上委員)と述べ、処遇改善加算だけでは根本的な介護職の給料アップには繋がらないとする意見が出された。
一方、「時限的とされた処遇改善加算が上乗せ評価というのは非常に残念」(本多委員)など、反対する意見もあった。

以上