【論点】第189回通常国会
―予算、医療保険制度、集団的自衛権
(全国保険医新聞2015年2月25日号より)
1月26日に開会した第189回通常国会の会期は6月24日までの予定だ。今国会では、医療、介護などの社会保障制度を大幅に後退させかねない予算案と医療保険制度改革や、集団的自衛権の行使に関する法整備などが審議される。問題点を考える。
自然増切り込み―予算案
2015年度予算案では社会保障費「自然増」に大きく切り込む。昨年夏の概算要求時の自然増分8300億円を4200億円に圧縮。うち、1700億円は、介護報酬の2・27%引き下げや生活保護給付削減などによるものだ。残り2500億円について、厚労省は「一人当たり医療費の鈍化」などをあげる。これは患者の受診抑制の結果だ。
負担増、混合診療―医療保険制度
医療保険制度改革として、患者負担増や新たな混合診療制度である「患者申出療養」の創設などが一括法案として3月上旬にも提出される。
患者負担増には、▽入院時の食事代の自己負担引き上げ▽紹介状なしの大病院受診の定額負担▽後期高齢者の保険料軽減特例の廃止―が盛り込まれる見通しだ。
「患者申出療養」は、患者の申出を起点とする新たな混合診療制度だ。安全性・有効性の未確立な医療が「患者の自己責任」の名で広がる危険性が大きい。
また、都道府県に公的医療費削減の役割を担わせる「国保の都道府県単位化」(都道府県による財政運営、医療費適正化計画の見直しなど)などが含まれている。
自衛隊派遣を拡大―集団的自衛権
集団的自衛権行使のための法整備の法律案も5月の連休明け以降に審議が始まろうとしている。日本ではなく他国が攻撃された場合でも「日本の存続が脅かされる」と政府が判断すれば、自衛隊などが世界中どこでも出動できる「存立事態」の概念に基づく法整備などが焦点となる。
以上