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【政策解説】医療保険制度改革関連法案
―ここがポイント―

(全国保険医新聞2015年4月25日号より)

 

全ての世代で負担増

  • 入院時食事代の自己負担引き上げ
 「在宅医療との公平性」の名で、入院時の食事代の自己負担を2016年度と18年度に100円ずつ引き上げる。栄養管理は全身の状態を整え、治療効果を向上させ、症状の重症化を抑えるなど医療の一環。
  • 紹介状なしで大病院を受診する場合に、窓口割負担とは別に定額負担を義務化
 保険導入を前提としない選定療養の仕組みで、5000円〜1万円の負担を義務づける。詳細は今後、中医協で議論して決定、療養担当規則などで定める。
  • 75歳以上高齢者の保険料軽減の特例を廃止
 保険料の均等割9割軽減、8.5割軽減、所得割5割軽減を廃止。高齢者の6割、865万人が負担増(国の予算措置)。

 

保険外併用療養を拡大し「患者申出療養」を創設

 患者の責任で、先進医療の対象外とされた症例など、安全性・有効性が未確立な医療も対象とする。前例がある場合は2週間で承認。前例がない場合でも6週間で判断する。詳細は今後、中医協で議論し、決定する。国立がん研究センター先進医療評価室は、対象になると予想される抗がん剤リストを公開。1カ月で100万円以上の薬剤費となるものが大半を占める。

 

国保の財政運営を都道府県に移し市町村と共同で保険者に

【都道府県】

 国保運営方針を定め、財政運営に責任を負う。都道府県単位で医療費を管理し、それに見合う「納付金」の額を決め、各市町村に割り当てる。
市町村ごとの「標準保険料率」(標準的な算定方式や収納率に基づいて計算。一般会計法定外繰入は見込まず)を示す。各市町村の保険料の標準化を促進(引き上げにつながる)。

【市町村】

 国保運営方針の下で、標準保険料率を参考に、納付金を納めるのに必要な保険料率を決め、保険料を徴収。
 加入者の資格管理、保険給付などは引き続き行うが、保険料や窓口負担の軽減などの独自性が損なわれる。

【医療費抑制の仕組みづくり】

 各市町村の医療費水準が高いほど、都道府県に納める納付金の負担は大きくなる仕組み。
65〜 74歳の高齢者の医療費抑制、後発品の使用割合を高める、などに取り組んだ自治体を対象に「保険者努力支援制度」(700〜800億円の規模)を創設。

 

都道府県が医療費目標値を設定

 都道府県が策定する医療費適正化計画に、医療費水準、病床削減の目標、後発医薬品の使用割合などを設定し、医療費実績が「医療に要する費用の目標」とかけ離れた場合、都道府県は原因の分析や対策を立てる。

 

さらなる給付縮小・負担増の検討

 法案附則に、給付範囲や患者負担の再検討を規定。政府は▽ 75歳以上高齢者の窓口負担の2割化▽湿布薬の保険給付に上限を設け、一部の湿布薬は保険から外す▽先発医薬品を使うときは、後発品との価格差を患者負担にする▽受診時定額負担の導入などを検討。