ホーム

 

保険給付縮小を議論―16年度診療報酬改定に制約
(政府諸会議)

(全国保険医新聞2015年6月5日号より)

 

 湿布薬などの市販品類似薬、軽度医療の保険適用のあり方が政府の諸会議で焦点となっている。2016年度診療報酬改定に向けた厚労省、中医協の議論にあらかじめ制約をかけるものだ。

湿布薬等を保険外し―規制改革会議

 首相の諮問機関である規制改革会議の健康・医療ワーキング・グループは4月7日、「市販品類似薬の給付の在り方等の見直し」に関する論点として、湿布薬における保険給付の制限・除外などを検討する姿勢を示した。3月19日の同会議で健保連が湿布薬(第1世代)を保険適用から外すなどとした提案を受けた形だ。
 社会保障費の自然増抑制を狙う財務省も、湿布、漢方薬、目薬、ビタミン剤、うがい薬など「市販品として既に十分定着した市販品類似薬」は「保険給付からの完全除外の加速化が必要」と求めている(財政制度等審議会・財政制度分科会4月27日)。経済財政諮問会議でも民間議員が「スイッチOTCが認められた医療用医薬品を含む市販品類似薬」は保険から外すべきと提言している(5月19日)。

軽度医療も患者負担に―財務省等

 財務省、経済財政諮問会議からは、さらに、医薬品の保険給付を後発医薬品に基づいて設定し、超過額分は患者負担とすること、受診時の定率負担に加えて一定額の負担を求める「受診時定額負担」や「保険免責制」などの議論も出ており、湿布薬、市販品類似薬から初期・軽度医療へなし崩し的に患者負担を拡大する議論が進んでいる。保険外しを進める受け皿作りとして、医療費控除の拡大など税制をめぐる議論の動向にも注意が必要だ。
 2016年度診療報酬改定に向けて、入院・外来の機能分化、かかりつけ医機能の強化をめぐる議論がさらに進められる方向だが、紹介状なしで大病院を受診する場合の定額負担(5000円〜1万円)の導入とともに、初期・軽度医療の患者負担増となれば外来受診は大きく抑制される。受診時定額負担が導入された場合、患者が定額負担した分は初再診料を引き下げるなどの措置も懸念される。

以上