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患者団体が負担増や安全性懸念
―患者申出療養制度―

(全国保険医新聞2015年10月5日号より)

 

 来年4月から実施予定の患者申出療養制度を巡り、日本難病・疾病団体協議会(JPA、84団体)と全国がん患者団体連合会(全がん連、26団体)は9月17日、国会内で集会を開き、患者とその家族や医療関係者など50人が参加した。同制度の導入によって、国民皆保険制度がなし崩しになり、空洞化していくことを危惧する意見が多く上がった。
 JPAの高本久副代表理事は、患者申出療養は私たち患者が望んでできた制度ではないと指摘。混合診療の全面解禁に道を開き、患者の負担増と安全性への疑念が広がらないようにと訴えた。全がん連の天野慎介理事長は、同制度により有効性と安全性が示された治療薬などが保険適用されないことになると、経済力によって患者の受けられる治療に大きな格差が生まれるとの懸念を示した。国立がん研究センターの藤原康広企画戦略局長は、同制度によるがん患者の自己負担について試算した結果、患者の負担はほとんど減らないと指摘。薬事承認と保険適用こそが大事だと強調した。ジャーナリストの堤未果氏は、日本の社会保障としての医療制度が形骸化し、医療を商品と位置付けているアメリカのような方向に向かっていることに警鐘を鳴らした。
 JPAは、▽新設される「患者申出療養に関する会議」の構成員に患者団体の代表を入れる▽申請された事案の報告・承認だけでなく事後検証を行う▽有害事象発生時には、国が責任をもって公的な保障を行う―などを求めている。  

以上