【中医協ひろい読み】
紹介状なし受診の定額負担、後発医薬品の銘柄指定
(全国保険医新聞2015年10月25日号より)
中医協総会では、9月30日には2016年から義務化される「紹介状なし大病院受診時等の定額負担」運用の具体化、10月7日には後発医薬品の使用促進の方向性が議論された。
負担義務化対象の大幅拡大を議論
9月30日 中医協総会資料「総-3」
9月30日の中医協総会で厚労省は、紹介状なしの受診時の定額負担の徴収義務化対象医療機関として大学病院などの特定機能病院に加えて500床以上の地域医療支援病院を提案。これに対し鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「200床以上の地域医療支援病院」と対象拡大の意見を述べたほか、白川修二委員(健保連副会長)は「病院機能面での議論もすべき」と述べた。14年の社会保障審議会で松原謙二委員(日本医師会副会長)は「特定機能病院から始めてはどうか」と述べている。日医は今回の鈴木委員の発言に至るまでに対象の大幅拡大を容認した形となっており、今後の動向が注視される。
また、定額負担を求めない患者については、厚労省は従来からの救急患者等4種類のケースを踏襲するが、救急患者のうち軽症者は除外すべきと提案。これに対し鈴木委員は「軽症か否かは診療しなければ分からない」として慎重な姿勢を示した。しかし、現状では除外患者の場合でもその知は医療機関に義務付けられておらず、実態として除外患者が定額負担を徴収されるケースも発生している。除外規定そのものが有効に機能していない点にも着目し、今後の議論動向を注視する必要がある。
設定金額のあり方を検討
厚労省は、徴収額について最低額を定め医療機関が独自に設定する案を提案。金額についても、患者負担が5,000円を超えた場合患者の受診動向が変わる可能性があるとの厚労省の調査結果を示しつつ、初診、再診でさまざまな水準の設定案を提起した。白川委員が「患者の理解の観点から、定額負担は一律化した上で機能分化の効果を高めるべく高い金額に設定すべき」と述べ、具体的な制度設計は中医協で議論されることとなった。
後発品銘柄指定をめぐり対立
10月7日の中医協総会で厚労省は、「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査」等を報告。14年度改定前後で、処方された後発医薬品のうち銘柄指定とされた医薬品の割合が前年度の22.8%から44.8%と倍増したことを指摘した。
白川委員は「この割合は異常。後発医薬品促進の阻害要因となっている」と述べ、「一般名処方を推進する中では、処方医薬品の最終的選定は薬剤師が行うべき」と主張。対して、中川俊男委員(日医副会長)は、「医師は患者の体調を考慮のうえ、責任を持って後発品の銘柄を指定している」と反論し、議論の応酬となった。なお、同調査結果では医師が後発医薬品促進に必要な対応として、「国による品質保証並びにその周知徹底」、「メーカー等の情報提供体制の確保」、「医薬品の安定供給体制の確保」を求める声が多くなっており、今後の議論で厚労省が示す方向性を注視する必要がある。
10月7日中医協資料「総-2 平成26年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成26年度調査)の結果について」の「後発医薬品の使用状況調査」における報告書(案)の概要より
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