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【中医協ひろい読み】 分割調剤拡大の提案
―診療、支払溝埋まらず ―

(全国保険医新聞2015年11月25日号より)

 

 11月6日の中医協総会では、残薬の適正化を議題に「分割調剤の対象拡大」について議論が行われた。


11月6日中医協資料「総-3」の「個別事項(その4 薬剤使用の適正化等について)」より

 厚労省は、患者の同意と医師の指示がある場合には、薬局が一定期間の長期の処方に対して、期間を分割して調剤を行う「分割調剤」を可とすることを提案。残薬の適正化については、これまでも規制改革会議から、一定の処方期間医師が指示する回数の反復使用を可とするリフィル処方箋の導入の検討が促され、中医協で導入についての議論が行われていた。しかし、診療側、支払側の双方から慎重な検討を求める意見が相次ぎ、特に診療側は、患者の体調管理を実質的に薬剤師が行う点に強く反発していた。今回の提案は、こうした経過を受けて、「長期保存が困難等」や「後発医薬品を初めて使用する」場合に限定して認められていた分割調剤の対象が拡大された形だ。
 幸野庄司委員(健保連理事)は「リフィル処方箋とは異なり、医師が薬剤を処方する権利は担保されており問題ない」と提案を支持。対して中川俊男委員(日医副会長)は、「投薬の管理等はあくまで医師の管理下に置くべきだ。医師の診察がないことにより弊害があるのは同じであり、分割調剤の拡大とリフィル処方箋の導入には明確に反対」と従来の立場を崩さず、議論は平行線となった。
 厚労省が提案する方向性は患者の再診機会を減らことになるため、医療機関の再診料、処方せん料等の削減につながる。調剤に関わるこうした議論が進めば、患者の健康確保上の問題に加え、医療機関の疲弊をもたらすことも懸念される。

以上