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【ふりかえってみよう 日常歯科保険診療@】
指導における留意点
―日頃のカルテ記載を大切に―

(全国保険医新聞2015年11月25日号より)

 

 保団連歯科社保・審査対策部では、日常の歯科保険診療において留意すべき点をシリーズで伝えていく。自身の診療をふりかえりながら再度確認し、明日からの保険診療の一助として活用いただきたい。

 現在の指導大綱・監査要綱では、保険医療機関の指定を受けると、新規指導を受けることになる。その後、既指定保険医療機関の枠に入り、高点数による集団的個別指導、個別指導に選定されるようになっている。

情報提供による個別指導が増加傾向

 しかし、最近、県によっては、患者や保険者からの情報提供による個別指導が増えてきている傾向がある。また、支払基金からの返戻や症状詳記に関する照会が散見される医療機関で、改善が見られない場合は、後に個別指導に選定される例もあるようだ。

カルテ後日記載は絶対避ける

 そこで、いつ個別指導の通知がきても良いように、保険医療機関及び保険医療養担当規則の熟知と、日頃のカルテ記載が重要である。カルテ記載について、歯科医師法と療養担当規則で、「遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」と定めている。日々忙しい診療や雑務に追われて、カルテ記載が後日記載となることは、絶対に避けなければならない。検査結果や治療方針、指導の内容などの要点を記載し、診療の過を誰が見ても分かるように記載する必要がある。

カルテと添付文書等を確実に保存を

 また、訪問診療で、複数の診療を行った場合、後日、記憶を頼りに記載したがために、訪問日時がレセプトと合致しないものが出現し、個別指導で架空請求とみなされることもある。
 最近では、レセプトコンピューターでのカルテ作成が増えてきた。一人で診療していても、複数の保険医が勤務している場合と同様に、保険医自身の署名か記名押印が必要となっている。
 例えば、歯科技工指示書や歯科疾患管理料等情報提供文書の添付や保存、歯科衛生士への指示内容の要点、補綴時診断、平行測定などの診断や記録もカルテ記載しなければ、個別指導時に指摘を受け過去1年分の自主返還を求められるケースもある。レントゲンに関しても、撮影位置が悪い例(加圧根管充填を算定の場合、根尖が写っていない等)、現像処理が悪く、保存期間中にもかかわらず劣化し、読影困難な場合も返還を求められる。よって、日頃から、カルテ記載と添付文書等の写しを確実に保存し、合わせて、治療に関して患者への説明を怠らないように努めることも重要である。
 医療訴訟も増えてきた。カルテ開示請求にも対応できるようなカルテ記載が保険医自身を守ることになる。以上のことを念頭に置き、日常診療で留意しよう。

以上