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診療報酬―保団連の視点[医科B]
―入院中の他院受診減算の撤廃、有床診の評価を―

(全国保険医新聞2015年12月15日号より)

 

 改善要求では、「入院患者の他医療機関受診の規制(入院報酬からの一定割合減算)を直ちに撤回すること」を求めている。
 中医協では、入院患者が異なる診療科の疾患を持つ場合の治療が円滑に行われるよう、「精神科病院や有床診療所など、特に診療科の少ない医療機関」への入院患者が、他の医療機関を受診する場合、減算を緩和する方向で検討している。「中小病院も含めるべき」との声もあり、厚労省は「2つは例示。診療科の少ない医療機関についてどう考えるか」としている。規制の完全撤廃こそが必要だ。


10月28日中医協資料「総-3」の「入院医療について(その5)」より


 また、改善要求では、有床診の入院基本料を「病院の診療報酬に準拠して正当に引き上げる」よう求めている。14年改定では、地域包括ケアの中で複数の機能(在宅医療・看取り、急変時入院、介護サービス等)を担う有床診の評価が平均1.2倍に引き上げられた。しかし14年度でも有床診の損益差額は1.1%減(医療経済実態調査)で、580件の廃止(8割は無床化)と減少傾向が止まっていない。
 核家族化、少子高齢化が進む中、地域密着で小回りのきく入院施設として、有床診はますます重要だ。産婦人科の有床診は分娩件数の約半数を担い、その他の専門単価でも短期入院手術や高度な専門診療を提供する有床診も少なくない。有床診へのさらなる評価が求められる。

以上