消費税補填「状況にばらつき」
―中医協調査結果―
(全国保険医新聞2015年12月15日号より)
マクロで概ね補填もばらつき見られる
12月2日の中医協総会で、消費税分科会から、消費税率5%から8%への引き上げに伴う補填状況(技術料本体)の調査結果が報告された。
レセプトデータから消費税上乗せ項目の算定回数(上乗せ分)を抽出し、直近の医療経済実態調査から推計した3%相当負担額を差し引いて補填差額と補填率を算出した。
医療機関全体での本体上乗せ分2648億円に対し、3%相当負担額は2594億円。補填差額は54億円、補填率は102.07%となった。14年改定では、本体分の改定率として0.63%(約2600億円)が確保されていたことから、ほぼ当初の見立てに沿う結果となった。
他方、施設別(1施設・年間)の補填率(補填差額)では、病院102.36%(+64.9万円)、一般診療所105.72%(+4.4万円)、歯科診療所100.68%(+0.2万円)。保険薬局は86.03%でマイナス4.1万円となった。
厚労省は、今回の対応について「マクロでは概ね補てんされていることが確認されたものの、補てん状況にばらつきが見られた」とまとめている。
5%時までの補填状況は調査対象外
14年改定の補填対応をめぐっては、中医協で過去の経緯、調査、補填方法等について議論し、診療所は初・再診料に、病院は入院基本料を中心に乗せる形とした。補填財源も事実上「満額回答」で実施されたが、施設・機能・開設者別などで不公平が生じる結果となった。
税率5%時までの状況は、調査対象外とされており、医療機関の消費税負担が重い現状に変わりはない。2015年の医療経済実態調査では、病院は赤字傾向が拡大し、診療所も損益差額は減少・横ばいとなっており、消費税負担は経営上の大きなネックだ。
総会で、病院団体の委員は「診療報酬ではなく、公平性を担保する『しかるべき仕組み』が必要」と求めた。11月30日の分科会でも、健保連委員は「診療報酬で手当てする仕組みの限界。医療機関でたまっていた不満は解消されないまま続く。税調、国でも何らかの解決策を見出す時期ではないか」と指摘している。「ゼロ税率」による抜本的解消の導入が急務である。
以上