ホーム

 

損税解消 結論は17年度に
―与党税制改正大綱―

(全国保険医新聞2015年12月25日号より)

 

 自民・公明両党の税制調査会は12月16日、2016年度の税制改正大綱をまとめた。大綱に沿って、今後政府が税制改正関連法案を来年の通常国会に提出する見通し。
 医療機関等の被る損税の解消については引き続き「検討事項」とし、税制上措置について、「平成29(2017)年度税制改正に際し、総合的に検討し、結論を得る」とした。昨年度の大綱にあった「個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当額部分を『見える化』する」との文言はなくなり、「実態の正確な把握を行う」とするとした。「見える化」については日本医師会が「個々の項目に原価を求め、消費税相当額を『見える化』することは困難」との報告書を10月の中医協総会に報告していた。
 また税制上の措置について大綱では、「医療保険制度における手当のあり方の検討とあわせて、医療関係者、保険者等の意見、特に高度な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ」るとされた。
 「損税」解消には、患者・国民にも医療機関にも負担を課さず、真の非課税を実現する「ゼロ税率」の適用こそが必要だ。保団連は12月17日、「医療へのゼロ税率(免税)の適用、消費税増税の中止を求める」要請書と会員(院長)署名2,102筆を内閣府に提出した。

スイッチOTC薬促進も

 このほか大綱では、健診、予防接種等を受けている個人と、その配偶者・一定の親族がスイッチOTC薬を購入した際の費用について所得控除制度を導入するとした。年間1万2,000円を超えて支払った場合に8万8,000円を上限に所得から控除できる。現行の医療費控除とは、いずれかを選択することになる。
 「医療用医薬品からの代替」「セルフメディケーションの推進」が狙いだが、患者が医療機関の受診を控えることで健康への影響が懸念される。

以上