ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次

コロナ禍と医療現場

漢方薬処方で著効例も

   白川病院理事長・岐阜協会 野尻 眞

全国保険医新聞2021年4月15日号より)

 

 西洋医学はウィルヒョウの細胞病理学に基づいて分析される。原因は内因と外因に分かれる。
 新型コロナウイルスは、SARS-CoV-2外因のウイルスで、顔の粘膜・結膜・鼻腔・口腔・気道から侵入し発病する感染症である。
 漢方とは、漢の末期(紀元前3世紀頃)に、張仲景が感染症(疫病)の薬を系統的に『傷寒論』にまとめた医学である。
 華岡青洲は250年前の江戸時代に10種類の生薬を配合し、「十味敗毒湯」を創薬した。皮膚の化膿を抑え、腫れや赤み、かゆみを取る薬である。
 今回、新型コロナウイルス感染症患者3人に、「十味敗毒湯」を処方したので紹介する。

 

症例1 47歳女:2020年10月、発熱外来で抗原検査が陽性となり、診断直後より「十味敗毒湯」を処方。保健所のPCR検査で翌日陽性となり、他病院に入院した。
 翌日に38℃から36.2℃へ解熱。解熱と共にSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)が94%から98%へ著明に改善。その後退院まで胸部X腺・胸部CTでコロナ肺炎を認めず酸素投与なし。21日間「軽症」隔離。白血球4100、CRP(C反応性蛋白)0.2の正常値で退院。世界初症例であった。

症例2 38歳男:発熱直後より「十味敗毒湯」を内服し1日で解熱。SpO2は98%を維持。白血球3,820、CRP0.09、Dダイマー陰性で著効。

症例3 50歳女:濃厚接触者として経過観察中4日目後に発熱。発熱当日から『十味敗毒湯』内服。1日で38℃から36.4℃へ解熱。SpO2も94%から98%へ改善。X線・CTにて左肺に雲状影、軽い咳はあるも全身状態は良好。『補中益気湯』を併用し肺炎像消失、酸素・点滴なしで2〜3週でPCR陰性となり、1カ月で後遺症なく退院、社会復帰。

 

 発熱した新型コロナウイルス感染症患者の解熱は普通3〜4日かかるが、これらのケースでは、「十味敗毒湯」内服で、1日で解熱している。また、SpO2に顕著な改善効果がみられ、咳、頭痛、下痢、嗅覚障害、味覚障害など新型コロナ感染症特有の症状があっても、肺炎や免疫過剰で血管内血栓が多発するサイトカインストームに至らず、快方に向かった。3症例だが、「十味敗毒湯」で著効したと考えられる。
 適応外処方だが、全国の臨床経験を増やしていただきたい。華岡青洲の名と共に、和製漢方を世界にアピールする絶好のチャンスである。なお、漢方薬の保険外しの動きは正す必要がある。
 現在、盛んに「三密」対策が言われる。しかし非感染者が何人集まっても感染は拡大しないのだから、問題は「三密」の空間の中に感染者が「いるか、いないか」である。むやみと行動や時間を抑制するのではなく検査を拡大し、感染者すべてに入院や自宅待機などの適切な措置をとれるようにすることが大切と考える。

以上

ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次