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党利党略による年金法案の修正・採決に抗議
します--同法案の衆議院通過にあたって

2004年5月11日
全国保険医団体連合会
副会長  宇佐美 宏

 本日、年金「改革」法案が一部修正の上、衆議院本会議で採択され、参議院に送付されました。

 今回の採択は、5月6日の自民、公明、民主の3党幹事長会談での合意にもとづくものです。合意された修正は、法案の附則に社会保障制度全般の見直しと年金一元化の検討を行うことを明記するというものですが、国会の審議なしで毎年自動的に保険料を引き上げ、年金額は15%引き下げるという改悪内容を何ら是正するものではありません。

 さらに、年金一元化を含めた社会保障全般の見直しについて2007年までに結論を得るという合意は、与党税制大綱と軌を一にして社会保障を名目にした消費税率の引き上げに道を開くものです。

 こうした重大な内容を、閣僚および民主党前代表などの国民年金保険料未納問題の幕引きという思惑により、国会で押し通すことは許されません。まさに国民不在、党利党略優先の三党の姿勢に強く抗議するものです。

 今回の年金改悪案は、健保3割負担などの医療費負担増に続く、社会保障制度の大改悪です。参議院では、衆議院では行われなかった中央・地方での公聴会の開催をはじめ、徹底審議を行い、閣僚、国会議員の保険料未納問題を含めて、国民の前に現在、年金制度が抱えている問題点を明らかにすることを要求します。

 世論調査でも、年金法案に賛成との回答はわずか2割台です。政府・与党は、「将来にわたって持続可能な制度とする」ことを年金「改革」の理由に掲げていますが、政府案では、年金制度への国民の信頼を損ない、保険料未納者を増やし、「空洞化」を一層促進するだけです。無年金者、低年金者の増大は、医療を受ける権利を奪うことにもつながります。

 政府は、年金「改革」の次には、介護保険、医療と社会保障制度の連続改悪をねらっています。少子高齢社会の進行の中で、今こそ憲法25条の生存権保障の立場に立って、国が社会保障制度の拡充に責任を持つことが、強く求められています。これまでの政策を抜本的に見直し、国民のいのちと暮らしを最優先にした財政運営を要求するものです。

以上