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美浜原発事故について
2004年8月11日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部会
部長 野本 哲夫
福井県美浜町にある関西電力美浜原発3号機で9日に起きた事故は、死者4人、多数の重軽傷を出しました。2人が死亡した1999年のJCO東海事業所の臨界事故をこえた日本の原発史上最悪の事故となり、国民に衝撃を与えました。
なんの落ち度もないのに事故により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々のご回復を願うものです。
今回の事故では、事故を起こした箇所を関西電力は28年間も交換もせず、検査もしていなかったことは営利を目的とした「人災」といってもいいものです。さらに関西電力は、今回の事故は「原子炉の事故ではない」と言っていますが、原発でおきた事故でありそうした言葉は通用しません。 また政府の責任も重大です。政府は平成12年度版の「原子力安全白書」の冒頭で、「原子力は絶対に安全とは誰にもいえない」と述べ、「これまでの原発安全神話」の転換を表明しました。
しかし、今回の事故では放射漏れがないとして政府として「対策本部」を設けないなど、「高速増殖炉もんじゅ」、「JCO東海事業所」の事故や「東京電力のトラブル隠し」からの教訓が生かされていません。
全国保険医団体連合会は全国の原子力施設の安全体制を調査し問題のあるものは即時に稼働停止し、プルトニウム燃料使用による高速増殖炉の計画を即時にやめること、危険な原発はなくす方向で原子力政策の抜本的な見直しをはかることを訴えてきました。
私たちは、人々の命と健康を守ることを使命とする医師団体として、今回の事故の原因の徹底究明と責任の明確化、国と関西電力の責任で被害者への万全の補償を要求するものです。また現在の原子力施設の総点検と、建設後一定の年数の経った施設の全面点検を強く要望します。
また情報公開、国民参加による原子力政策とエネルギー政策の抜本的見直しを求めます。
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