2005年2月16日 今年は被爆60周年の節目の年です。5月には、米国・ニューヨークにおいて、NPT(核不拡散条約)再検討会議が開催されます。1995年の再検討会議で無期限延長されたNPTは、その後の新アジェンダ連合などのイニシアチブにより、2000年再検討会議において「核兵器廃絶の明確な約束」が核保有国を含め合意されました。 いま、核兵器廃絶を求める流れは、国内外で大きく広がっています。昨年9月には新アジェンダ連合7カ国の外相が共同署名の論文を発表し、「核軍備撤廃」を熱烈に訴えています。また、世界平和市長会議(会長・秋葉忠利広島市長)も2020年までの核兵器廃絶の提唱と「緊急行動」をよびかけ、ニューヨークでの100万人大行動などが計画されています。 国内においては、全国の717市と東京23区が加盟する全国市長会(会長・山出保金沢市長)が、5月のNPT再検討会議を前に「核兵器のない世界が一日も早く実現されるよう強く求める」との決議文を採択しました。 しかし一方、唯一の核超大国の米国は、昨年の国連総会でも「明確な約束」を否認しました。さらに「小型核兵器」など「使える核兵器」の研究・開発、地下核実験再開の検討、ミサイル防衛計画、宇宙の軍事化などを進めています。イラク戦争でも明らかなように、「力による支配」の政策は、21世紀を迎えた世界に新たな脅威をつくりだしています。 全国保険医団体連合会は、「開業医宣言」のなかで医療に対する基本姿勢として「人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する」と宣言しています。 その立場から、我々は、日本政府が唯一の被爆国の政府として5月のNPT再検討会議を核兵器廃絶への転機とするために、具体的イニシアチブを発揮するよう以下の諸点を強く要請するものです。 (1)日本政府は、核保有国を含むすべての政府に対し、核兵器の使用・威嚇・開発をおこなわず、ただちに核兵器廃絶の具体的計画の策定と実行を迫ること。国連において非同盟諸国、新アジェンダ連合諸国などと共同して核兵器廃絶の諸決議をあげるなど、積極的役割を果たすこと。 (2)唯一の核超大国である米国政府に対し、その先制核使用政策に対し抗議しその撤回を求めること。小型核兵器開発に抗議し禁止を求めること。地下核実験再開を認めないこと。 (3)日本政府は、「非核三原則」を厳守し、その法制化をおこない、「核の傘」からの脱却をおこなうこと。 (4)世界平和市長会議やNGOなどの活動に、政府として財政支援などの援助や再検討会議での活動に最大限の便宜を図ること。 |