兵庫県尼崎市にあるクボタの旧神崎工場の従業員や周辺住民に死者が続発していることが明らかになって以来、アスベストによる中皮腫、肺がんなどの健康被害への不安が全国的に広がり、被害の救済と緊急かつ総合的な対策を求める声が日増しに高まっています。
中皮腫による死亡者は、1995年以来2003年までの9年間で6,060人にも達し、急増傾向にあるとともに、「我が国における悪性胸膜中皮腫死亡数の将来予測」(2002年)によると、アスベストの健康被害者が、2000年からの40年間で約10万人も増え、過去10年の約50倍になる可能性が指摘されています。
しかし、アスベストを原因とする労災認定は、2003年度は121人(中皮腫83人、肺がん38人)で、同年の中皮腫による死亡者878人と比べると極端に低い認定率となっています。健康被害は、アスベスト関連工場の従業員だけでなく家族や地域住民にも広がっています。
政府は7月29日にアスベスト関係閣僚会議を開きましたが、対策が後手に回ったことは否めません。健康被害の拡大は、政府自身もその責任を認めているように、1970年代に、アスベスト使用の有害性が医学的に指摘され、国際的にも明らかになっていたにもかかわらず、昨年の原則禁止措置まで放置してきたことに原因があると言わざるを得ません。
アスベストの有害性を知りながら使用禁止を徹底せず、健康被害を拡大させた政府の責任を明確にしながら、緊急対策として直ちに実施すべきことは、アスベストの全面使用禁止と健康被害の救済です。
当面の緊急対策として、以下の事項を要請します。