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すべてのハンセン病被害者の救済を求めます


                      全国保険医団体連合会
副会長 住江憲勇

 日本の旧植民地統治下の韓国と台湾のハンセン病療養所に強制収容された入所者計142人が、「ハンセン病補償法」に基づく補償を求めた訴訟で、東京地裁は10月25日、2つの異なる判決を下しました。

 裁判は、「補償法」の成立を受けて、韓国と台湾のハンセン病入所者が日本政府に補償を求めたが棄却されたため、「憲法の定める平等原則に反する」として棄却処分の取り消しを求めて提訴したもので、旧植民地統治下の国立ハンセン病療養所が補償法の対象に入るのか否かが争点になっていました。

 台湾訴訟の判決では、「患者が長年の間、偏見や差別と隔離政策の中で、多大な苦難を強いられてきたことを真しに受け止め」、「補償法は、広く網羅的にハンセン病の救護・療養施設に入所していた者を救済しようとする特別な立法」と述べ、入所者を補償の対象から除外することは、「平等取り扱いの原則」に反するとして、日本政府に対し処分の取り消しを命じました。

 一方、韓国訴訟の判決では、「外地療養所の入所者に関しても、補償を行うべきであるという考え方は十分に成り立ち得る」としながら、厚労省告示にない以上は補償対象とはならないとし、請求を棄却しました。

 2001年に成立、施行された「補償法」は、ハンセン病患者の隔離政策の誤りを認め、国に賠償を命じた熊本地裁判決の確定を受けて、患者、元患者を幅広く救済するために、国立療養所等に収容された者なら時期、期間を問わず救済対象としました。また、厚労省が設けた第三者機関「ハンセン病問題検証会議」の最終報告書(2005年3月)は、朝鮮半島でのハンセン病の入所者について、「日本国内の患者が受けたと同様の人権侵害だけでなく、植民地民族への差別による二重の人権侵害を受けた」と述べ、痛切な反省と今後への教訓を強調しています。

 台湾訴訟の判決及び「補償法」やハンセン病問題検証会議報告書の趣旨をふまえ、すべてのハンセン病被害者を救済するため、下記事項を強く求めます。



一、 厚労省告示を改正し、韓国、台湾の療養所入所者を補償対象とすること。

一、 台湾訴訟について、国は控訴を断念すること。

以上