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厚生労働大臣 川崎二郎殿
2006年7月12日

全国保険医団体連合会
理事 中島幸裕

乳がん検診対策についての要望書



 厚生労働省によると、乳がんによる年齢調整死亡率は、1975年時点で10万人当り6.5人であったものが、2002年には10万人当り10.8人に増加し、特に65歳未満の比較的若い世代で女性のがん死亡の第1位となっています。

 一方で、乳がん検診の受診率は低迷しているだけでなく、40歳以上を対象にマンモグラフィによる検診を原則とした2004年度は11.3%で、前年比で1.6ポイントも減少しました。欧米の受診率の水準(40〜70%)に比べ、わが国の受診率は看過できない状況となっています。

 その要因の一つとして、マンモグラフィの整備の遅れにより検診希望者の要望に応えきれないことが各地から指摘されています。

 つきましては、乳がん検診を希望する者が全員受診できるよう、下記の措置を採るよう強く要望します。



1、 日本医学放射線学会の示した使用基準を満たすマンモグラフィによる検診が全市町村で実施できるよう、次の措置を採ること。

@ 日本医学放射線学会の示した使用基準を満たすマンモグラフィの設置状況、及び基準を満たすマンモグラフィによる検診の実施状況、未実施市町村の未実施の要因及び今後の対策について、改めて調査すること。

A全市町村で実施できるよう、国及び都道府県において積極的な財政措置を採ること。その際、2006年度中に7割又は8割の市町村で実施をめざす等の目標をもって対策を講ずること。

B日本医学放射線学会の示した使用基準に適合していない機器の更新等を援助すること。

2、 検診の精度管理の向上を図るとともに、マンモグラフィ読影診断能力の向上・平準化のために教育・講習システムを早急に立ち上げること。

3、上記「1」「2」と併せ、当面、次の措置を同時にすすめること。

1)視触診による検診等

 制度管理が適切に行き届いたマンモグラフィによる検診の実施体制が整備されるまでの間、次の措置を採ること。

@ 日本放射線学会が示した使用基準に適合していない機器と視触診の併用を「乳がん検診」に位置づけること。

A 臨床の現場では、患者自身が自己触診で発見したもの、検診による視触診で発見されたものが多くを占めており、2002年度の視触診単独のがん発見率は0.11%(マンモグラフィ併用の場合:0.19%)となっている(厚生労働省「平成14年度地域保健・老人保健事業報告」)ことから、制度管理をされた視触診単独による検診を「乳がん検診」に位置づけること。

2)超音波検診の実施等

@ 超音波検診の有効性評価研究の必要性は従前から指摘されていることであり、有効性評価に関する研究を早急に実施すること。

A 乳がん検診の対象者がマンモグラフィで描出しにくい乳腺密度の高い40歳以上であることから、超音波による検診を「乳がん検診」に位置づけ、受診者がいずれかの方法を選択できるようにすること。

4、費用等

1) 乳がん検診の意義について、国民に対し適切な情報提供を一層強めること。

2) 受診率を高めるため、より安価な受診者負担額を設定するよう市町村を指導すること。

3) 地方交付税を十分措置するよう財務省等関係方面に強力に要請すること。

以上