1、1996年、99人が原告となり、国、東京都、旧首都高速道路公団(現首都高速道路会社)自動車メーカー7社を相手取り、損害賠償と汚染物質の排出差し止めを求めて、東京大気汚染公害訴訟を起こしました。
全国保険医団体連合会は、原告団を全面的に支援し連帯して勝利判決を目指してきました。
2002年の東京地裁判決では、都内の全域を汚染している面的汚染や汚染物質の排出差し止め、自動車メ―カ―の責任を認めませんでした。このため控訴審が行われてきましたが、2006年9月28日、東京高裁で結審しました。東京高裁は一次訴訟の結審にあたり判決前の和解を勧告しました。
2、原告側はこの和解勧告を適切なものとして和解協議を行うこととしました。
3、東京都は、原則として都内の喘息患者全員の医療費助成制度創設を東京高裁に提示しました。
この内容について、対象地域は都内全域、助成は全額助成となっていることを、評価するものです。
しかし、対象疾病は「気管支喘息に限る」としていることには納得できません。
現在の都の18歳未満対象の大気汚染に係わる健康障害者の医療費助成制度と同様に4疾病等(気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、喘息性気管支炎並びにこれらの続発症)を対象疾病にすべきです。
また、制度の枠組みは5年間維持し5年後に見直すこととしていますが「見直し」の内容が明確でありません。提示している制度をより発展させる立場を明確にすべきです。
4、けれども、この都の提示にたいして、国は「大気汚染と喘息の因果関係が分からないのに税金は使えない」と消極的な姿勢です。排ガスと発症の因果関係があることはすでに認められています。国はただちに和解協議に応ずるべきです。
5、自動車メ―カ―ではトヨタが医療費助成制度に応じる意向を示したことを評価するものです。同様に他の自動車メ―カ―も助成制度に応じるべきです。