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政府は控訴せず、被爆者救済の立場にたった原爆症認定制度に改めるよう強く求めます

原爆症認定集団訴訟での東京地裁判決にあたって


2007年3月23日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

3月22日、東京地方裁判所、原告の被爆者30名中入市・遠距離被爆者を含む21名について、厚生労働大臣の原爆症認定申請却下処分を取り消す、原告勝訴の判決を言い渡しました。

判決は、厚生労働省が「科学的」と称して、2001年以降用いてきたDS86や原因確率論を柱とする「審査の方針」について、原爆被害の実態を正しく反映せず、法の趣旨に反するものであることを明確に認める内容です。

一方、判決は9名の原告について、被爆地点、入市の日時や、急性症状の存否等の原告側主張を、事実認定においてその請求を棄却しました。

国の原爆症認定行政の誤りは、最高裁、大阪高裁、東京高裁をはじめ、全国11の裁判所で厳しく指摘されてきたにもかかわらず、自らの認定基準を改めようとせず、多数の被爆者を切り捨ててきました。

国が控訴をして裁判を長引かせ、高齢化した被爆者に、あと何年も裁判を続けさせることはできません。

 私たちは、開業医宣言のなかで、「人命を守る医師はいかなる戦争をも容認できない。私たちは歴史の教訓に学び、憲法の理念を体して平和を脅かす動きに反対し、核戦争の防止と核兵器廃絶が現代に生きる医師の社会的責任であることを確認する」との立場を表明しています。

 政府は、原爆症認定集団訴訟に対する判決の趣旨を尊重し、今回の判決に対し控訴せず、これまでの控訴を取り下げること、さらに、早急に原爆被爆の実態に沿った認定制度にあらためるよう要請します。

そして、唯一被爆国の政府として、核兵器廃絶のために尽力することをあらためて要請します。