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診療科名標榜の見直しは慎重に


全国保険医団体連合会
副会長 川崎美榮子

 厚労省は5月21日、現在、医療機関が標榜できる38の医科診療科名について、「基本的な領域に関する診療科名」として内科、外科など20程度に削減する素案を医道審議会診療科名標榜部会に提示した。また、「総合的かつ高度な診断能力」を持つ診療科として、許可制の「総合科」を新たな診療科名に位置づけ、養成のあり方や認定要件については、医道審議会の下に「総合科標榜資格審査部会」を設置して検討する方針である。

 標榜科名見直しの目的として、細分化して分かりにくい診療科を再編し、患者が医療機関を選択しやすくすることが挙げられている。しかし、心療内科、胃腸科、肛門科など患者さんから親しまれ定着してきた診療科が基本的な診療科名から除かれ、「サブスペシャリティ」の部分で補足する表記は、かえって煩雑になり、患者・国民にとってむしろ分かりにくくなる懸念がある。

 総合科の新設は、5年間で1兆1千億円の削減目標の実現を目指すため、経済財政諮問会議に厚労省が提出した「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に盛り込まれたいわゆる「総合医」構想を具体化するものであり、まさに医療費抑制の見地から考え出されたものと言わざるを得ない。

 病院への患者の集中を緩和し勤務医の過重労働を軽減するために、病院については、入院と専門外来に特化し、初期診療は診療所に限定するという「総合医」構想は、患者の医療機関を選択する権利を奪い、国民皆保険制度の根幹をなすフリーアクセスを制限するものである。深刻な「医療崩壊」の原因は、政府・厚労省が医療費抑制を至上のものとして、医師不足を放置し診療報酬の削減などで医療機関を経営困難に追い込んできたことによるものである。

 現行診療科名の廃止や「総合科」の新設という医療機関にも患者・国民にも重大な影響を与える診療科名標榜の見直しは、学会や専門医会をはじめ医療関係団体の意見を十分に聴取するなど慎重に検討すべきであり、拙速な決定には強く反対するものである。