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厚生労働大臣 柳澤伯夫 様

コムスン不正問題の真の解決を求める要請書


2007年6月12日 
全国保険医団体連合会地域医療対策部会
部長 中島幸裕

 

訪問介護最大手のコムスンは、5都県6事業所で介護保険の指定を受ける際にヘルパー数を水増しする等の虚偽申請をし、今年4月に発覚した東京都内3事業所のケースでは、東京都が指定取り消しを行う前に、自ら廃止届を出して処分逃れを行いました。

厚生労働省は、介護保険法に基づく事業所の指定打ち切りを決め、5年間は再指定を認めない扱いとしましたが、親会社のグッドウィル・グループは、全事業を傘下の別のグループ会社に譲渡すると発表するなど、さらなる処分逃れを画策しました。

福祉を食い物にしたコムスン及びグッドウィル・グループのこうしたやり方は、断じて許せるものではありません。

これに対して厚生労働省は、コムスンの社長に対してグループ企業への事業譲渡を凍結するよう要請。これを受けてグッドウィル・グループは、「厚生労働省の指導に従い、グループ外に譲渡する」と述べましたが、今回の事件は、事業のグループ外譲渡で解決するものではなく、一企業の問題にのみ矮小化してはなりません。

事件を生じさせた根本原因は、営利企業に介護サービス事業への参入を許したことにあります。

営利企業は、利潤追求が前提であり、より多くの利益を得ることが求められることから、営利企業が社会保障分野に直接参入すれば、こうした問題がおきやすいことは、介護保険制度創設時から当会として指摘してきたところです。

第二の原因は、低すぎる介護報酬にあります。

全ての事業者は、低い介護報酬のもとで非常に厳しい経営におかれています。経営が厳しいからといって不正が許されるわけでは決してありません。しかし、低い介護報酬の経営のしわ寄せは、ヘルパーなど働く人に及び、質の良い介護サービスの提供が困難になってしまい、不正が発生する素地を作り出してしまいます。

こうした点を踏まえて、コムスン不正問題の真の解決に向け、次の点を実施するよう強く要請するものです。



一.事件によって全国1600か所の事業所が廃止されるが、必要な介護サービスが切れ目なく受けられるよう、国と自治体が責任をもって対応すること。

一.介護保険で給付するサービスは、自治体の責任で直接提供すること。委託する場合であっても、社会福祉法人や医療法人など、非営利を前提とする事業者に限ること。

一.質のよい介護サービスの提供が保障できる介護報酬に改善すること。