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厚生労働大臣 舛添 要一 様
2007年9月10日
全国保険医団体連合会
病院・有床診対策部会
部長 斉藤 隆義
回復期リハビリテーションへの成果報酬導入に反対する要望書
前略 国民医療確保に対する貴台のご尽力に敬意を表します。
さて、一部マスコミで「2008年改定で、回復期リハビリテーション病棟入院料に成果方式を導入することを厚生労働省が目指している」と主旨の報道がされました。
成果方式とは、患者の入院時と退院時の状態を比べ、改善度合いの良好な患者がどれだけいるかで診療報酬に差をつけるというものであり、次に掲げるような大問題を引き起こすことが明らかです。
成果方式は、評価の目的を歪めるだけでなく、患者さんに点数をつけ、充分頑張っている患者さんを追い詰めるものであり、成果方式の導入に反対を表明するものです。
なお、リハビリテーションの効果をさらに高めるために、@学会において各疾病や年齢などを考慮した詳細なガイドラインの作成や、Aガイドラインに基づくクリニカル・パスの利用、Bバリアントについての考察など、多様な規模の医療機関でのリハビリの実施の可能性の拡大と質の向上を図ることが必要である。しかし、成果方式の導入は、こうした努力を台無しにしかねず、全く容認できない。
貴台におかれましては、次回改定において、成果方式の導入を行わず、リハビリテーション日数制限を撤廃させるよう、強く要望いたします。
一.障害別、療法別で、評価方法は様々であり、改善度合いを不公平なく評価することは極めて困難である。特に、言語聴覚療法が主たるリハビリとして入院している患者にとっては、その改善が評価されにくい。
二.成果方式は、改善した患者さん=よくできる患者さん、あまり改善しない患者さん=できない患者さんと、点数を付けることになる。患者さんは、みな一生懸命頑張っている。「評価」は患者さんに点数を付けるためのものではなく、次のリハビリプランを計画するためのものである。成果方式は、「評価」の目的を歪めることとなる。
三.順調な患者さんでは、急性期一般病棟→回復期リハビリ病棟→在宅という流れができてきているのに、選別が行われると軌道に乗れない患者さんが出てくる可能性がある。
四.回復期リハビリテーションの報酬上の評価は決して高くはない。一方、障害によって「成果」を上げやすいものがある。こうした状況で、成果報酬を導入した場合は、患者の選別につながりかねない。
五.リハビリテーションに対する制限日数導入により、先行して給付制限が設けられたリハビリで、また先行して「成果主義」が導入されようとしているが、これが診療報酬全体に波及する危険性がある。
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