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厚生労働大臣 舛添 要一 様

2007年9月10日

全国保険医団体連合会

病院・有床診療所対策部会

部長 斉藤 隆義 

医療機能強化型老人保健施設に関する要望

前略 国民生活の向上に対する日頃のご努力に敬意を申し上げます。

 さて、昨年の通常国会で「医療制度改革関連法」が成立し、介護療養病床を2012年3月末で廃止し、医療療養病床を大幅に削減することとなりました。

厚生労働省では、介護療養病床の転換先として、介護老人保健施設や特定施設などを示していますが、こうした施設では介護療養型医療施設のように必要な医療が提供できなくなります。

昨年、都道府県が実施した「療養病床アンケート調査」では、医療療養病床における医療区分1のうち、最低でも59.7%の患者が「都道府県が例示した医療処置」を実施しており、介護療養病床における医療区分1のうち、最低でも58.4%が「都道府県が例示した医療処置」を実施していることが判明しています。全国保険医団体連合会が「医療療養病床に入院する医療区分1の患者」について調査したところ、「容態急変の可能性は低く、福祉施設や在宅によって対応できる」は47.6%でした。

また、都道府県の調査では、日中・夜間とも自宅では介護できる人がいないとの回答が、「医療療養病床(54.3%)」「介護療養病床(61.4%)」にものぼっていました。

このまま介護療養病床が廃止されれば、どこにも行き場のない、いわゆる「医療難民」「介護難民」が各地であふれることは明らかです。

 介護療養病床の廃止・医療療養病床の大幅削減は、医療や介護の現場をまったく無視したものであり、当会としては、介護療養病床の廃止・医療療養病床の大幅削減について中止を求めるものですが、少なくとも、「医療機能強化型老人保健施設」の創設にあたっては、下記の点を実現されるよう、強く要望いたします。


1.「医療機能強化型介護老人保健施設」の人員基準は、現行の介護療養病床の人員配置から大きく変更しないこと。

2.「医療機能強化型介護老人保健施設」の介護報酬は、人員・設備基準に見合った妥当なものとすること。

3.「医療機能強化型介護老人保健施設」における医療行為は、医療保険から給付すること。

4.「医療機能強化型介護老人保健施設」の施設基準は、現行の介護療養病床の施設基準から大きく変更しないこと。

@ 診察室が1の場合でも兼用ができるようにすること。

A エレベーターの設置と、有床診における機能訓練室の基準は、現行の有床診の療養病床と同じにすること。

5.既存の病院・有床診を介護老人保健施設等に転換する場合は、第3期介護保険事業計画及び第4期介護保険事業(支援)計画において、病床過剰地域でも転換を認めること。