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消費税増税をはじめとする国民への増税計画の策動に抗議します

全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

1、首相の諮問機関である政府税制調査会(香西泰会長)が20日、来年度税制改定の答申をとりまとめました。また、自民党の財政改革研究会(会長・与謝野馨前官房長官)は21日、消費税を社会保障財源に使途を限定した「社会保障税(仮称)」に改組し、2015年度に向けて消費税率を現行5%から10%程度に引き上げることを柱とする報告書をまとめました。26日からの自民党税制調査会での論議のたたき台にする方針です。
  この「答申」と「報告書」に共通しているものは、消費税を社会保障財源として位置づけ、税率を引き上げるべきとしていることです。
  消費税が食料など生活費需品にまで容赦なく課税の対象となり、低所得者ほど負担が重くなるもので、社会保障とは相容れない不公平税制です。さらに、医療改悪による国民負担増も重なり、個人消費を落ち込ませ、医療機関への受診の手控え、不況などの悪循環を招くものです。
  以上の点からも、消費税が社会保障の財源として最もふさわしくないことは明らかです。
また、政府税調「答申」では、配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除の「見直し」などの必要性に言及しました。給与所得控除については「今日の経済・社会状況に適合するように再構築すること」を求めました。また、公的年金等控除の「適正化」も求めています。これらは、サラリーマンや高齢者へのいっそうの増税を迫るものです。
一方、法人課税の実効税率(約40%)については、「国際動向に照らして引き下げが必要との意見が多い」として、さらなる法人税減税の必要性なども強調しています。
国民には増税、大企業・大資産家には減税という逆立ちした内容となっています。

2、福田首相が来年度は消費税を増税しないと明言し、政府税調が引き上げ幅や実施時期を明記できなかったことは、参院選での国民の審判とともに、「年金・社会保障財源でも消費税増税は認められない」との国民世論の根強さを示しています。
社会保障の財源は、税収では応能負担の原則にたち、国家財政のあり方では無駄な支出を見直すだけでも、十分に確保できます。例えば、バブル期より2倍の利益増で空前の利益をあげながら減税されてきた法人税を、89年当時の税率に戻すだけでも約12兆円の税収増となります。防衛予算、米軍への思いやり予算、公共事業費の無駄をなくし、その4分の1を節減するだけでも3兆円の財源を確保でき、合計15兆円の財源が生まれます。こうした財源で、医療や年金、育児や教育、失業保障の改善などを進め、国民の生活不安が少なくなれば、個人消費の増加で企業の生産活動なども高まり、税収増として国家財政にも波及するなど、国民、企業、国とも好循環をもたらすことにもなります。
保団連は、国民医療と医療経営を守ってゆく立場から、一貫して直接税中心、応能負担、生活費非課税などの民主的税制の確立、消費税増税中止、納税者権利憲章の制定をはじめ、民主的税務行政を確立するために活動してきました。
この立場から保団連は、政府税制調査会の今回の「答申」で示された増税路線に反対し、国民本位の税制の実現をめざして、運動をいっそう強めるものです。