生活保護による医療を受けている患者への薬剤使用制限の撤回を要求する
2008年4月20日
全国保険医団体連合会
副会長・政策部長 津田 光夫
厚生労働省は4月1日、社会・援護局保護課長による「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」を、各都道府県等に通知した。
最大の問題点は、生活保護による医療の「基本原則」に、「後発医薬品を選択 するよう求める」ことを規定したことである。
生活保護による医療を受けている患者が、後発医薬品を選択していない場合、福祉事務所は、第1段階で処方医への理由確認と本人への口頭指導、第2段階で本人からの聴取、第3段階で文書による指導を行う、第4段階では生活保護の変更・停止・廃止を検討する−としている。
本人への指導や事情聴取、さらに保護の廃止まで迫るというやり方は、患者のおかれている状態からすれば、事実上、福祉事務所の指示に従わざるを得ないことは明らかである。患者の心情を思いやり、その人権を尊重するという行政の姿勢は垣間見ることはできない。
処方医が医学的な理由があると判断した場合は除くとしているが、生活保護による医療を受けている患者のみに対して、福祉事務所が薬剤使用の制限を強要することは、断じて認めることはできない。4月1日付け通知をただちに撤回することを要求する。
そして、生活保護法第3条の「保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」との規定を遵守し、国民の生存権を保障する保護行政に転換することを強く求めるものである。