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地球温暖化対策で、中期目標の明示など
日本政府のリーダーシップを
地球温暖化対策の基本方針(「福田ビジョン」)に関する談話

2008年6月18日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本 哲夫

 

 7月の洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を前にした6月9日、福田首相は、地球温暖化対策の基本方針(「福田ビジョン」)を明らかにした。
 世界的な気候変動や生態系の異常を引き起こしている地球温暖化問題への対応は、人類の生存にかかわる緊急の問題である。私たちは、医師・歯科医師の団体として、気候の変動や生態系の異常が、人の健康や命をも脅かすものとして環境問題を重視してきた。このような立場から、「福田ビジョン」に対する見解を以下の通り表明する。
 今後の対策でとくに重要なことは、日本が温室効果ガス削減の中期目標を国際社会に向かって明確に示すことである。「福田ビジョン」は、長期目標として2050年に「60〜80%削減する」としているが、これは今から40年も先のことであり、対策の緊急性に対する切迫感をもった姿勢とはいえない。
 昨年のバリ会議では、「地球全体の温室効果ガス排出量のピークを今後10〜15年後に迎え、先進国グループで2020年までに1990年比で25〜40%の範囲に削減」する必要性が確認され、日本もこの合意に参加した。中期目標が必要な理由は、それだけの緊急かつ確実な対策が求められているからである。世界400以上のNGO団体で組織する「気候行動ネットワーク(CAN)・インターナショナル」をはじめ内外から、福田首相に「中期目標の明確化」が要請されている。
 洞爺湖サミットでは、今後の国際的な交渉を口実として中期目標の決定を先送りするのではなく、日本政府として「中期目標」を明確化すること。さらに、産業別に目標を定め、それを積み上げて削減目標を決める「セクター別アプローチ」の推進についても、法的拘束力のある総量削減目標を示すべきである。
 国連の気候変動に関する政府間パネルや関連の報告書、英国政府に提出されたスターン報告書でも明らかなように、気候変動は極めて深刻な地球規模の危機であり、世界規模での緊急対策の必要性が指摘されている。
 今こそ、洞爺湖サミットの議長国である日本は、国際社会に向かって、地球温暖化対策におけるリーダーシップを積極的に示すよう要望するものである。