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原爆症認定集団訴訟 長崎地裁判決について

 

2008年6月24日
全国保険医団体連合会
会長 住江憲勇

 23日、長崎地方裁判所は、原爆症認定集団訴訟に関して、原告20名の認定申請却下処分を取り消す旨の判決を言い渡しました。
  本判決は、本年4月に「新たな審査の方針」が施行されてから、5月28日に仙台高裁で、5月30日に大阪高裁に続く3件目の判決であり、しかも被爆地長崎における判決として重要な意義を有するものです。
  とくに、「原告らの申請疾病において最も多く問題とされた慢性肝炎、肝障害等については、放射線起因性が認められる」と判断したこと、ガラス摘出後遺症、両変形性膝関節炎・足関節炎、狭心症など、本年4月以降に厚生労働省が実施している「新しい審査の方針」でも、なお積極認定の対象としていない疾病について、幅広く放射線起因性を認めたこと、また、総論においても、残留放射線及び内部被曝を重視した総合認定における明快な認定基準を示したことは重要です。
  しかし、27人中7人についての請求を棄却したことは、被ばく線量や原爆放射線の影響を十分考慮しておらず、極めて遺憾というほかありません。
  もともと原爆被害は国がはじめた侵略戦争に起因する被害として、国家補償の見地に立った救援が強く求められてきました。多くの被爆者は、原爆により心身の被害を受け、これまでの60年余、苦難の歳月を過ごしてきた人々です。被爆者の高齢化がすすみ、長崎原告だけでも既に8人が死去しています。原告の高齢化を考えれば残された時間は長くありません。
 国と厚生労働省は、本判決を厳粛に受け止め、控訴は断念し、これ以上、被爆者を苦しめるのでなく、被爆者の実情を直視して原爆症認定行政の抜本的改革と、被爆者全員の救済を図るよう重ねて強く要求します。そして、被爆者の悲願である核兵器廃絶のため、被爆国政府のイニシアチブを発揮することを求めます。