社会保障費2200億円圧縮の09年度予算概算要求基準に抗議し、撤回を求める
2008年7月29日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
政府は、7月29日午後の臨時閣議で、09年度予算編成にむけた概算要求基準を了承した。
それによれば、社会保障費は自然増8700億円のうち2200億円を圧縮し、6500億円に縮減された。
しかし、80年代以来の社会保障抑制政策、とりわけ2002年から毎年続いている社会保障費の自然増分の圧縮により、患者負担は増加し、地方の医療供給体制は縮小を余儀なくされ、「お産のできる医療機関がない」「近くに小児科がなく、子育てが不安」「救急の搬送先が確保できず救急車が立ち往生」「過酷な勤務で医師、看護師が次々退職」など、医療崩壊ともいうべき事態が広がっている。
保団連は、社会保障に対する国の責任を縮小・放棄するものとして、社会保障費の抑制方針に当初から反対してきた。今日の深刻な事態の広がりを前に、日本医師会、日本歯科医師会、病院団体など医療関係団体がこぞって、2200億円のシーリングに反対を表明している。もはや、社会保障費圧縮方針のもとでは医療再生が不可能なことは明らかである。
自民、公明両与党も25日には、福田首相に2200億円圧縮の政府方針に「これ以上の削減は限界」との申し入れを行っている。にもかかわらず、医療危機を生み出した社会保障費圧縮方針を何ら反省することなく、来年度も2200億円圧縮の概算要求基準を了承したことに、断固として抗議するものである。
特に、自らも「2200億円の圧縮は限界」と繰り返し表明していた舛添厚労大臣が、この概算要求基準に合意した責任は重大である。高齢者医療制度の見直しや医師養成数増などについては、別枠の措置で対応するともいわれているが、そもそもこれらの問題も、社会保障費圧縮政策にその根本原因がある。それにフタをして、別枠の措置を講じたところで、別の矛盾を引き起こすことは必至である。
医療を巡る深刻な現状に何らかの対応が必要と認識しているのなら、その大本にある2200億円の圧縮方針を直ちに撤回すべきである。
同時に、医療費抑制を目的として創設された後期高齢者医療制度を速やかに廃止するよう求める。■