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汚染米の不正転売事件に抗議し、「食の安全」体制の確立を求める声明

 

 残留農薬やカビ毒に汚染された輸入米などが不正に転売され、病院や福祉施設、保育園や学校の給食にまで流通していたことが明らかとなった。今回の汚染米不正転売事件は、「食の安全」を根底から揺るがすものである。
  汚染米からは、基準値を上回る農薬成分のメタミドホスやアセタミプリド、カビ毒のアフラトキシンB1が検出されている。農水省は、「基準値は超えているが健康被害の心配はない」としている。しかし、残留基準値は、体重50キロの成人男性を基準に決められており、たとえ微量であっても体内に蓄積し、特に子どもや病人、老人の場合は、少量でも生体に影響を及ぼす可能性がある。
病院給食にも流通していたことは、患者・国民に大きな衝撃と不安を与え、医療機関においても、病院給食に対する患者の不信を招いている。
  今回の汚染米転売事件に関与した企業の悪質な行為は断じて許されない。同時に看過できないのは、今回の事件がこれまでの毒入り餃子事件や産地偽装などと異なり、行政が深く関わって起きていることである。
  そもそも日本では米の自給が可能にもかかわらず、政府は、国内では米の減反政策をとる一方、アメリカなどの圧力で、1995年度以来、WTO(世界貿易機関)農業協定のミニマムアクセス米を輸入し続けてきたところに問題がある。しかも、厚労省が検疫で食品衛生法違反となった汚染米も非食用として輸入し流通できるようにした。さらに、小泉「構造改革」の規制緩和として、米を扱う業者の許認可規制を撤廃し、米売買業者の自由参入により、米流通の管理責任を政府が放棄したことである。
  今回の事件は、以上の行政を背景に、汚染米の在庫を処理したい農水省と、転売で大儲けしたい業者との利害一致のもとで起きたといっても過言ではない。
私たちは、国民の健康を守る医師・歯科医師として、「食の安全」が健康を守ることと不可分の関係にあることを強く指摘するとともに、今回の事態を招いた政府の無責任な対応に抗議し、下記事項の実現を強く要求する。

1.汚染米の流通実態と、それを許してきた行政の検査体制などの全容を徹底解明し、再発防止を含む「食の安全」体制確立の対策を速やかに公表すること。
2.義務でもないミニマムアクセス米の輸入は直ちに中止し、政府は、米流通の管理責任をしっかり果たすこと。
3.事件の背景にある市場原理中心の「構造改革」をやめ、国内の食料自給率の向上や社会保障を改善し、国民が安心して暮らせる政治をめざすこと。
 
以上、決議する。


2008年10月5日   
全国保険医団体連合会 08〜09年度第9回理事会