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混合診療の全面解禁をやめ、必要な医療を保険診療で受給できる国民皆保険制度の理念を貫き、保険給付の拡大を求める決議

 

 今日、政府の相次ぐ患者負担増によって、わが国の多くの国民が受診を抑制せざるをえない状況におかれている。日本医療政策機構の「日本の医療に関する2008年世論調査結果」では、年間世帯収入300万円未満の低所得者層の40%が「具合が悪いところがあるのに医療機関に行かなかったことがある」と答え、さらに低所得者層の84%が「将来医療費を払えないことに不安を持つ」との回答をするなど、経済力による医療格差が一層拡大していることが示されている。
 こうした中で政府・財界は、2007年11月7日の東京地方裁判所における「混合診療禁止に法的根拠なしとした」判決以降、混合診療全面解禁の動きを強めている。首相の諮問機関である規制改革会議は、本年7月の「中間取りまとめ」の中で、厚労省に対して「混合診療禁止措置の撤廃に向けた施策を早急に講じるべきである」と求めている。規制改革会議「中間取りまとめ」に反対している厚労省も、本年4月から未承認薬等の混合診療を拡大する「高度医療評価制度」を創設し、実質的な医療の営利化をもたらす「先端医療開発特区」(スーパー特区)の拡大と同一歩調をとって、しかも難病等患者の「利益確保」を口実に進めようとしている。また厚労省は、歯科については保険給付を前提としない「選定療養」の拡大の検討を進めている。

 しかし混合診療全面解禁がされても、決して難病等多くの患者・国民の要望や利益に応えられないだけでなく、逆に、今以上に患者負担は際限なく増大し、医療における経済格差・健康格差が一層拡大し、公的医療費が抑制され、難病患者等が切実に望んでいる新規・先進医療技術の保険導入が遅らされ、さらに今日強く求められている病診、病々等の医療連携に多大な支障を及ぼすことも必至である。

 私たちは、本日、医師、歯科医師等医療関係者、患者、法曹関係者の代表が一同に会して「医科歯科混合診療問題を考えるシンポジウム」を開催し、以下の事項の実現のために混合診療問題を広く宣伝し、混合診療全面解禁を阻止する運動を推進することを確認した。

  1. 多くの患者が医療費負担の心配なく医療が受けられるよう、患者一部負担を軽減すること。

  2. 政府は、混合診療全面解禁・拡大をしないこと。

  3. 安全性、有効性の確立していない企業等の実験的医療や臨床研究段階の医療に「保険外併用療養費」として公的医療費を投入しないこと。

  4. 安全性、有効性の確立した医療は、速やかに診療報酬を正当に評価し、保険導入すること。

以上、決議する。

 

2008年 10月26日 医科歯科混合診療問題を考えるシンポジウム