「慢性期入院医療の実態調査」に対する対応について
2009年2月25日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
2月20日付で、「慢性期入院医療の実態調査」ご協力のお願いが厚生労働省保険局医療課から医療機関に送付され、調査に協力する場合は2月27日までにFAXするようにとされている。
この調査は、職員配置、患者構成、医療提供体制の実態等を把握し、「今後の診療報酬改定に関する基礎資料とする」とされている。
厚生労働省は、こうした調査を平成17年より実施しているが、平成17年の調査では、医師の「指示の見直し」頻度を、「医師の対応」にすり変え、「医師による直接医療提供はほとんど必要なしとの回答が概ね5割」とする誤った情報を恣意的に流して、介護療養病床廃止・医療療養病床削減を推し進めた。
この点について、2007年3月28日に開催された中医協・診療報酬基本問題小委員会に出された「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」中間報告書で、「医療区分1に関して入院医療を必要としないという政策判断がなされ、診療報酬についてもコストに見合わない点数が設定されていることについては、当分科会として大きな疑問を呈さざるを得ない」と断じているにもかかわらず、2008年の診療報酬改定では改善をはかるどころかさらに引き下げを行った。
さらに厚生労働省は、外来管理加算への時間要件等の導入においても、調査データを恣意的に読み替え、誤った情報操作を行い、診療所、中小病院に大打撃を加えた。
両調査の恣意的な情報操作については、当会として何度も抗議をし、中医協でも問題とされていながら、厚生労働省はなんらの反省をしていない。
こうした前例がある中で、当該調査に協力することは、患者への適切な医療の提供を阻害するおそれがあり、当会としては、当該調査の中止を厚生労働省に求めるものである。