ホーム

 

2009年4月1日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇


「規制改革推進のための3か年計画」閣議決定に対する声明



規制改革推進のための3か年計画(再改定)が3月31日に閣議決定された。
今回の閣議決定では診療報酬オンライン請求義務化について、従前の措置内容を修正し、「義務化において原則現行以上の例外規定を設けないこと」と「原則」との文言を追加するとともに、「その際、地域医療の崩壊を招くことのないよう、自らオンライン請求することが当面困難な医療機関に対して配慮する」という文言を追加した。また、実施予定時期についても上記の内容を踏まえることとした。

このように3か年計画の修正を余儀なくさせたのは、06年4月に厚生労働省令第111号が制定されて以降、協会、保団連が取り組んできた診療報酬オンライン請求義務化の撤回を求める院長署名、患者署名、度重なる国会要請行動での議員要請、厚生労働省への抗議要請等が政府を動かすとともに、何よりも神奈川県保険医協会を中心としたレセプトオンライン請求義務化撤回訴訟の第1次提訴(1月21日)を契機に、医療界も含めて世論を大きく動かしてきたことにある。

しかしこの3か年計画の文言修正は、あくまでも義務化を先延ばしにするものでしかない。我々の義務化撤回要求の立場からは到底受け入れられないものである。
そもそもこのオンライン請求の義務化は国会審議を経ずに省令により決定されたものであり、多くの国会議員から「国会軽視であり問題だ」との意見も出されている。また義務化に伴う情報漏洩の危険性は残されたままである。

さらに3か年計画ではレセプトオンライン請求化を梃子に、「民間への開放を前提とした利用ルールの確立」として、医療情報の民間営利企業への開放を打ち出すなど重大な問題を掲げている。また、「IT化の推進による質の医療への転換」として「傷病名と医療行為のリンク付け」、「傷病名コードの統一」、「特定健診との突合」などを柱とした「レセプト様式の見直し」も方針に掲げた。しかしこれらはいずれもコンピュータ審査の一層の推進、医療の標準化(画一化)、さらに医師の裁量の否定につながるものであり到底受け入れられない。まさに医療費削減を目的としたものである。

今回政府が義務化を「原則」としたことや、「地域医療の崩壊を招くことのないよう」といった「配慮」をせざるを得なかったのは診療報酬オンライン請求義務化の問題点を自ら認めた結果である。そうであれば改めて国会で審議を尽くし、義務化を撤回するとともにこの問題の根本的な解決を図るべきである。
改めて義務化撤回を強く要求していくとともに、根本的解決に向けて運動を強めていくことが重要である。保団連としてそのために力を尽くしていく決意を改めて表明するものである。

以上