舛添 要一 厚生労働大臣 殿
2009年5月19日
全国保険医団体連合会会長
住江 憲勇
オンライン請求進捗状況に関する書面提出に抗議する
貴省は4月27日、規制改革会議からの質問に対する回答として、2010年4月にオンライン請求の義務化を迎える、レセコンのある診療所及び病院に対して、今年度中に、毎月、オンライン請求の進捗状況に関する書面の提出を求める方針を示した。
さらに、提出しない医療機関には「審査支払機関から勧奨」し、それに応じなければ「国が直接指導」し、それにも従わなければ「報酬が支払われないことについて警告を発する」としている。これは、権力を嵩にきた脅迫的ともいえる強引な手法であり、実施する根拠も明確ではない。
そもそも今回のオンライン請求義務化は、2006年4月に厚労省が発した一片の省令で義務化を決めたものである。正規の国会審議を経たものではない。現在、神奈川県保険医協会、大阪府保険医協会・歯科保険医協会を中心に、「レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟」が行われているが、厚労省の強権措置は訴訟に挑戦状を突きつけるものである。
レセプト電算処理が8割を超える調剤薬局ですら、本年4月の義務化に間に合わなかったという事実は、義務化スケジュール自体が既に破綻したことを示している。2009年3月時点で、診療所のレセプト電算処理は3割に満たず、オンライン請求率に至っては僅か4.4%に過ぎない。2010年4月の義務化達成が如何に困難であるか、数字を見れば一目瞭然である。
規制改革会議はオンライン請求義務化を、「国民が求める『質の医療』を推進するために欠かせない」としているが、オンライン請求自体は質の医療とは何ら関係するものではなく、単に請求問題である。国民が求めているのは「いつでも、誰でも安心してかかれる、安全な医療」である。
新型インフルエンザの急速な感染拡大により、我国の医療に未曾有の混乱が到来しようとしている。オンライン請求の義務化を押しつけるために情勢も考慮せず、一方でレセコンの助成をちらつかせながら、片方で書面の提出を求め、それに従わなければ勧奨し、指導し、警告する。このような目的のためには手段を選ばない行為など許されるものではない。
本会は、厚労省の暴挙に断固抗議するとともに、書面提出の撤回ならびにオンライン請求義務化を定めた厚生労働省令の改正を強く求めるものである。
以上