外来管理加算5分ルールの議論、またも先送り
―社会医療診療行為別調査結果、メディアスと乖離を理由に―
2009年7月17日
全国保険医団体連合会理事 本田孝也
7月15 日の中医協診療報酬基本問題小委員会において、佐藤医療課長は、「平成20年社会医療診療行為別調査結果」とメディアスとの間に大きな乖離が見られたとして、その根拠となる比較資料を提示し、このままの活用に対して懸念を表明した。
同資料によれば、入院外における1件あたり点数や1日当たり点数が、前年に比べて大きく増加し、その値はメディアスとの比較で10%程度乖離している。その原因のひとつとして、透析クリニックが例年に比べて多く抽出されたことが考えられる、と述べた。
これに対して、遠藤会長より検証チームを設置する事が提案され、5分ルールに関する議論はまたも先送りになった。
検証チームの立ち上げから結果を出すまでの目途については、「秋口から改定の議論を始めなければならない為、7〜8月あたりには一定の提案を出したい」とのことである。
外来管理加算の財政影響については保団連の試算(700〜800億円)、日本医師会の試算(約800億円)が出されたが、佐藤医療課長は「影響額については、事務局としては、社会医療診療行為別調査の結果を待たなければ、正確な金額それから正確な影響を算出できないというふうに考えております。」との答弁を繰り返してきた。
6月25日、統計情報部より、「社会医療診療行為別調査から外来管理加算の算定回数が1700万回減少」との発表がなされたばかりである。これより推定される減収額は年間1000億円超。また、医事新報が報道したように、算定率の比較より計算される減収額も年間約1000億円となる。
診療報酬改定結果検証部会での影響調査も完了し、社会医療診療行為別調査の結果もまとまった。
メディアスとの乖離を補正しても、減少回数は1500万回。透析クリニックが多く抽出されたとしても外来管理加算の算定率には影響は及ぼさない。
診察ごとに時間を勘案し、概ね5分を越えれば診療録にnq5と記載する。いつまで、この無意味な作業を繰り返せというのか。
心あるならば、いたずらに結論を先延ばしすることなく、一刻も早く外来管理加算5分ルールに関する議論を再開すべきである。