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診療報酬の大幅引き上げと介護療養病床廃止の撤回等を求める決議

この間、医療崩壊が大きく報じられ、国会でも大きな問題となっている。
保険料が高すぎて資格証明書を交付されている国保世帯は33万8000世帯に及び、保険料を支払っている人でも、諸外国と比べて異常に高い窓口負担のため、受診を手控えて重症化し死亡する事例が発生するなど、国民皆保険制度は名ばかりの状態になっている。
さらに、医師不足・看護師不足による救急医療体制や産科・小児科医療体制の崩壊が深刻な社会問題となり、地方の公立病院は軒並み赤字経営となっている。

医療崩壊の最大の原因は、1980年代から実施されてきた診療報酬抑制、患者負担拡大、医師養成数抑制など、社会保障費抑制政策である。
特に、2001年に発足した小泉内閣以後の4回連続の診療報酬マイナス改定によって失われた国民医療費は2009年度までで13兆円を超えており、このマイナス改定が、必要な機材・機器の更新さえもままならない状況を生み出し、医師不足・看護師不足による医療提供体制の崩壊に拍車をかけている。
この間の運動で、衆議院選挙では医師養成数の増加や、診療報酬の引き上げ、介護療養病床廃止の撤回に賛同する政党が広がってきた。

しかし、診療報酬改定では入院医療の一部や小児科等への重点配分に留める動きもあるが、これでは医療崩壊は食い止められない。医科・歯科、病院・診療所の外来、入院を問わず、総枠10%以上の引き上げが必要である。
また、国保保険料の引き下げや患者窓口負担の軽減を実現しなければ、受診抑制はとまらない。
さらに、「介護難民」「療養難民」を食い止めるためには、介護療養病床廃止の撤回だけでなく、介護報酬引き上げや医療療養病床の確保・充実も重要である。

こうしたことから、わたしたちは、患者・国民も医療担当者も安心できる社会保障制度の確立を求め、次の事項を強く要求する。

                       記

一 2010年診療報酬改定では、医科・歯科、病院・診療所の外来、入院を問わず、総枠10%以上の引き上げを実施すること。
一 外来管理理加算の5分ルールを廃止すること。
一 医科・歯科、病院・診療所とも初診料を300点、再診料を100点に引き上げること。
一 全ての病院・有床診療所の入院基本料を、人件費を含めた必要な経費が保障できるよう引き上げること。
一 重度肢体不自由者及び重度障害者の原因が脳卒中後遺症及び認知症である患者に対する入院追い出しの取扱いを止めること。
一 療養病床については、医療区分や一定範囲を包括した報酬を廃止し、人件費や医療提供の費用を正当に評価すること。
一 「180日超入院患者の保険給付外し」、「一般病院90日超入院患者の点数減額」を廃止すること。
一 患者窓口負担を大幅に軽減すること。子どもと高齢者の窓口負担は無料にすること。
一 介護療養病床の廃止を撤回するとともに、全ての介護報酬を引き上げること。
一 社会保障関連予算の削減をやめ、国庫負担を増やすこと。
以上、決議する

2009年8月22-23日
保団連第27回病院・有床診療所セミナー