厚生労働大臣 長妻 昭 殿
厚生労働政務官 足立 信也 殿
2009年10月5日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
社会医療診療行為別調査とメディアスとの間に年間4兆円もの乖離
中医協の適正な運営を要請します。
9月30日の中医協において、「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」の乖離問題についてワーキンググループの調査結果が報告され、@乖離の原因は医科診療所入院外の人工腎臓であること、A人工腎臓を例年平均に補正すると社会医療診療行為別調査とメディアスの結果の乖離が減少することが報告されました。
しかし、外来管理加算5分ルールに関する議論は、またも先送りされました。
当会は2ヶ月前の7月28日に、既に「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」の乖離を分析し、人工腎臓の影響を除いた補正を行い、「平成20 年社会医療診療行為別調査の「1日当たり点数」の対前年比較に関する考察―メディアス最新データをもとにした外来管理加算減収額の推計―」として公表しております(別紙1。http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/090728ana4.pdf)。
乖離の原因は人工腎臓だけではありません。
平成20年5月診療分の「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」を比較した結果、病院と診療所をあわせた医療費は、「社会医療診療行為別調査」が1兆7,371億円であるのに対して、「メディアス」では2兆823億円で3,452億円の乖離が認められました。これは年間に換算すると4兆円の乖離となります。
また、平成20年の「社会医療診療行為別調査」を前年と比較しますと、年換算で病院は約8,000億円の増収、診療所は約4,000億円の減収となっています。しかし、「メディアス」によれば、病院は2,507億円、診療所は212億円の増収です(別紙2)。
これほどの乖離は人工腎臓だけで説明できるものではなく、ワーキンググループの調査結果は極めて不十分と言わざると得ません。
不十分とはいえ、この調査結果をもとに別紙1の分析式を用いれば、外来管理加算の影響額は推計可能であり、診療所の年間推計減収額は809億円となります(別紙2)。これは当会のアンケート調査による試算(700〜800億円)、日本医師会の試算(約800億円)、診療報酬改定結果検証部会の影響調査結果をもとにした試算(約800億円)と極めて近いものであります。
都合の良いデータづくりには他の調査結果を流用してまでも作成し、都合の悪いデータは秘匿し提出せず、その場しのぎの、もっともらしい資料で延々と不必要な議論に終始されています。
10月より生まれ変わる新しい中医協においては、過去の悪しき慣習を払拭し、真に国民のための中医協として、適正な運用がなされるよう改革が行われることを要請します。
以上