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レセプトオンライン請求改正省令に対する声明

2009年11月27日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

11月25日、レセプトオンライン請求の義務化の撤廃を明記した厚生労働省令第151号が公布された。これにより、「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令」の一部が改正され、保険請求は原則として電子媒体による方式とオンラインによる方式の選択制となった。(資料
平成18年4月の厚生労働省令第111号で定められたレセプトオンライン請求の義務化に対し、保団連は一貫してレセプト請求の手上げ方式を主張し、保険医療を守り、保険医療を支える医療機関を守るため「一人の廃業者も出さない」立場で「義務化撤回」の取り組みを進めてきた。
今回の省令改正では、「オンライン請求義務化撤廃」という観点からは画期的なものであり、横浜や大阪におけるオンライン請求義務化撤回訴訟の取り組みを始め、全国の保険医協会、保険医会の運動や患者団体のご理解とご協力の賜物である。
手書きレセプト医療機関については、レセプト件数によらず紙レセプトでの提出が認められたのも福音である。
また、10月10日のパブリックコメント募集時点ではオンライン請求の義務化を前提とした改正案を、全国から寄せられた2200件もの意見を受けて原則化に転じたことは評価したい。
しかし保団連の求める手上げ方式とは、紙レセプト、電子媒体、オンライン請求のいずれでも医療機関の希望により選択できるものである。請求方法を電子媒体かオンライン請求の二者択一とした今回の原則化によっても、なお医療機関の営業の自由の侵害は解決されず、全面的に容認できるものではない。
さらに、保団連が平成21年4月の「診療報酬オンライン請求に関する見解」の中で指摘した、レセプトデータの目的外使用、画一的なコンピュータ審査、特定健診データとの突合、社会保障カードへの利用、情報漏洩の危険性や、特に患者のプライバシー権の侵害等、憲法上の違憲性を含む諸問題は未だ解決されないまま残されている。そもそも電算処理の持つ非倫理性の危惧を感じ、レセコンからの紙レセプト提出を希望しても、それを継続することは全く保障されていない。
今回の省令改正は最終到達点ではない。保団連は、医療機関、政府、厚生労働省そして国民を交えた議論の中で、保健・医療の発展につながる真のIT化を目指して行きたい。

以上