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民主党 衆参国会議員 各位


2009年12月2日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

ストップ医療崩壊は国民の願い、医療費総枠拡大の公約通り
診療報酬引き上げを実現してください


  拝啓 国政の重責を担ってのご奮闘に心より敬意を表します。
  私ども全国保険医団体連合会は、第一線医療を担う医師、歯科医師10万3千人の団体です。

 さて、8月の総選挙で多くの国民が民主党に託した願いは、一言でいえば前政権の「負の遺産」の解消です。多くの課題がありますが、その中でも医療崩壊から再生への政策転換は切望された事項です。貴党の選挙政策でも「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療の崩壊に拍車をかけました。総医療費対GDP(国内総生産)比を経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで今後引き上げていきます」と明確に述べておられます。

 しかし、野田佳彦財務副大臣は、11月19日の記者会見で来年度の診療報酬改定についてマイナス改定を示唆し、財務省の方針は「3%程度の引き下げ」と伝えられています。
  財務省が11月19日付で発表した「医療費予算について」は、あれこれ資料をあげて、医療費の配分を変えれば総枠拡大なしに医療崩壊は解決できるかのような主張をしています。多くの医療関係団体から詳細な反論が出されていますので、その点は省略しますが、最大の問題点は医療費抑制策を強引に推進し医療崩壊という事態を招いた財務省としての反省が微塵も感じられないことです。
  さらに、「事業仕分け」で市販類似薬の保険外しや入院時の食費・居住費負担などの患者負担増が検討課題となったことは、選挙で国民がノーの審判を下した小泉構造改革への逆戻りであり、とうてい容認できるものではありません。

 こうした財務省の姿勢に対して、貴党の有志議員の方々が「適切な医療費を考える議員連盟」を結成されたことは、私どもとしても心から励まされ、力強い思いを感じています。

 政府も日銀も、デフレ宣言をしました。いまこそ、「コンクリートから人へ」のスローガンにふさわしい財政出動が求められています。この点では、喫緊の課題である雇用対策とともに、経済波及効果の高い医療への財政投入が優先して行われるべきです。国民医療費への国庫負担率を高めれば、診療報酬引き上げによる保険料、患者負担への影響を緩和することは可能です。

 医療崩壊から再生への転換のためには、小泉構造改革路線が行った過去4回の診療報酬マイナス分7.68%(技術料本体▲2.28%、薬価▲5.4%)を補填する引き上げが必要です。また、歯科医師の「5人に1人がワーキングプア」といわれる歯科医院経営の崩壊的危機の打開のためには、歯科診療報酬は医科以上の引き上げが求められます(医療費全体への影響率は10%引き上げでもわずか0.73%)。

 医療再生のために、貴職のご尽力をお願い申し上げます。

敬具