ホーム

 

法の理念を反映した施策の推進を
―肝炎対策基本法の成立にあたって―

2009年12月6日
全国保険医団体連合会理事会

 国内に約350万人の感染者がいるとされるB型、C型肝炎患者を救済する肝炎対策基本法が11月30日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
2008年1月に成立した薬害C型肝炎被害者救済法では、救済対象となる患者が一部に限られていたため、同訴訟の原告団や患者団体が、患者全員の救済と恒久対策をすすめる法整備を求めていたもので、基本法は国内最大の感染症の被害者を国の責任で救済するための大きな一歩となるものである。
法案の成立は、薬害C型肝炎や予防接種によるB型肝炎感染の被害者が、個人の救済だけでなく、350万人の肝炎患者全体の救済を求めて粘り強く運動をすすめてきた結果であり、原告団や患者団体に心から敬意を表するものである。
基本法は、肝炎対策を総合的に実施する国の責務を明記し、患者の経済的負担軽減措置などを盛り込んでいるが、医療体制の整備など具体的な施策は今後の課題とされている。予算措置など法の理念を反映した施策が求められている。
特に、患者の医療費負担の軽減策については、インターフェロン、抗ウイルス薬などの負担軽減を来年度予算に盛り込むべきである。また、B型肝炎訴訟については、国の責任を認めた法の精神をふまえて対応すべきである。
ウイルス性肝炎患者が安心して治療に専念できる恒久対策の実現に向けて、政府が政治の責任を果たすことを強く求めるものである。