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これで医療崩壊が食い止められるのか
公約を守り診療報酬のさらなる引き上げを求める

2009年12月24日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

長妻厚生労働大臣と藤井財務大臣は、12月23日の会談で、総枠で0.19%の診療報酬引き上げを行う方針を決めたと報道されている。
1980年代から続く医療費抑制政策に加えて、小泉構造「改革」による4回連続の診療報酬のマイナス改定によって医療費は累計で13兆円以上も削減され、急性期病院だけでなく中小病院や医科・歯科診療所など医療提供体制全体が疲弊をしている。
総選挙にあたって民主党は、こうした医療費削減政策が医療崩壊を招いた大きな原因であると批判し、「総医療費対GDP比をOECD加盟国平均まで今後引き上げる」ことを公約して勝利した。
0.19%のうち、薬価部分は▲1.36%で、本体部分は+1.55%(医科入院+3.03%・医科外来+0.31%、医科合計+1.74%、歯科+2.09%、調剤+0.52%)だが、この引き上げ率では救急医療充実の予算が足りず、診療所の再診料を引き下げる方向であると報道されている。
医療費削減を継続しようとする財界の大宣伝の中で、0.19%とは言え総枠引き上げが行われ、歯科診療報酬についても一定の配慮がされたことは、医療担当者のこの間の運動と患者・国民の願いを一定反映したものであるが、これでは医療崩壊は一層深刻化することとなり、民主党が掲げた公約に反すると指弾せざるを得ない。
また、勤務医の負担軽減にも重要な役割を担う診療所の再診料引き下げが実施されれば、地域医療がさらに疲弊し、取り返しのつかない事態を招ねくことになる。
12月4日には衆参159人の民主党議員が参加する「適切な医療費を考える議員連盟」がマニフェストを守るために次期改定で3%以上の診療報酬アップを行うことを小沢幹事長に申し入れている。
医療への投資は、決して無駄な消費ではない。12月15日に閣議決定した「2010年度政府予算編成の基本方針」においても「医療・介護をはじめとした社会保障分野への投資は、幅広い雇用の受け皿を国民に提供するだけでなく、中期的には高い投資効果が期待できる」としている。診療報酬を引き上げれば、医療崩壊が食い止められるだけでなく、雇用の拡大や経済波及効果が期待できるのである。

現在の経済状況からすると来年度も補正予算の編成が想定される。補正予算対応を含めて、国民医療を守り医療崩壊を食い止めるために、少なくとも総枠で3%以上の診療報酬引き上げを行うよう、強く求めるものである。