ホーム

諫早湾干拓事業潮受け堤防排水門の
  すみやかな開門を求める

                              2010年1月25日
                              全国保険医団体連合会
                           公害環境対策部長 野本哲夫

2007年に完成した諫早湾干拓事業から2年が過ぎたが、有明海では深刻な漁業被害が今も続いており、漁民の生活は困窮している。また、昨年末から年初にかけて、養殖ノリの大規模な色落ち被害が発生している原因として、潮受け堤防調整池からの大量排水が強く疑われるなど、排水門の開門調査は急務の課題となっている。
  2008年6月27日、佐賀地裁は、有明海沿岸4県の漁業者らが、諫早湾干拓事業による潮受け堤防の撤去や開門を求めた訴訟の判決で、国に5年間の開門を命じた。既に完成した大型公共事業の見直しを求める画期的な判決であった。
  しかし、政府は、福岡高裁に控訴し、今日まで開門調査は行われていない。昨年4月に、農水省は開門調査のための環境アセスメントの方法書骨子(素案)を発表したが、これは、不要な手続きを重ねることによって開門を事実上先延ばしにするものと言わざるを得ない。
政府は、佐賀地裁判決の指摘をふまえて、すみやかに開門調査を実施し、その結果に基づき適切な施策を講じるべきである。2002年4月から5月にかけて短期開門調査が行われているが、何ら問題は発生していない。
貴重な生態系と豊富な水産資源に恵まれ「宝の海」と呼ばれた有明海は、諫早湾干拓事業開始以降、漁業被害が顕著になり、1997年の潮受け堤防閉め切りを契機に被害は有明海全域に広がっている。干拓事業と有明海異変との因果関係を検証することは、有明海の再生にとって不可欠の課題である。
  本会は、深刻な有明海異変と漁業被害を食い止めるために、政府に対し、すみやかに開門調査を実施することを強く要求する。