「保険料負担増を止め、国庫補助を法律本則の20%へ引き上げること」
を求める要望書
2010年2月10日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
全国健康保険協会運営委員会は、2010年度の都道府県別保険料率を了承しました。全国平均で9.34%となり、現行の8.2%から大幅に引き上がります。平均的な年収374万円の場合、負担は年間約4万2000円増なります。また、介護保険料率も現行の1.19%から1.50%への引き上げとなります。
さらに、09年10月から地域の医療費を反映させた保険料率となったため、地域間格差も広がり、最も高い北海道9.42%(現行8.26%)と最も低い長野県9.26%(同8.15%)との差は、現在の0.11ポイントから0.16ポイントに拡大します。地域間格差の拡大によって、医療のあり方が歪められてしまうことが懸念されます。
日本経済を支え、国民皆保険制度を支える中小零細企業の厳しい経営状態や勤労者の賃金動向からすれば、これに追い討ちをかける極めて重い負担増です。民間病院では事業主負担増が年間で5千万円に上るとの報告もあります。
協会健保の都道府県支部からも、「『これでは、保険料を負担できない』といった不満の声が多く寄せられている」(宮城)、「中小零細企業の経営負担や被保険者の悲鳴に近い負担増を考えると、さらに国からの追加支援が必要」(大阪)との意見が上がっています。
厚生労働省は、協会健保への国庫補助率を7月以降16.4%に引き上げるため、財源の半額程度を被用者保険に肩代わりさせるとしていますが、健康保険組合連合会は国庫補助肩代わりに、断固反対しており、実現の見通しは立っていません。国庫補助率が上がらない事態となれば、協会健保の保険料率はさらに引き上がることが予想されます。
経済危機がもたらす深刻な経営状態が影響し、被保険者数と賃金が予想を超えるペースで下がり続け、保険財政が急速に悪化しています。全国健康保険協会が試算した2012年度までの収支見通しでも、被保険者数が2%減少し、総報酬額も4%減額となる一方、保険料率は最大10.2%にまで引き上がります。
政府から公法人である全国健康保険協会へと管掌が移っても、その運営には基本的に国が責任を持つべきです。払いたくても払えない保険料は無保険状態を作り出すという国保の危機の教訓を生かすなら、国の責任と負担で協会健保の財政を確立すべきです。
当面、事業主や勤労者の保険料負担増を止め、国庫補助率を法律本則上の20%に引き上げるなどの財政支援を拡大することを強く要望します。
以上