診療所の再診料引き下げに断固抗議する
これでは地域医療の崩壊は止められない
2010年2月10日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇
2月10日の中医協(中央社会保険医療協議会)で、公益側委員から、診療所は2点引き下げの69点で病院の再診料と統一する案が提示され、診療側が押し切られる格好で、決着となった。
2007年6月実施の中医協医療経済実態調査で16.99%だった収支差額赤字の医科診療所は、2009年6月調査で28.65%に急増しており、医療の再生産すら困難な診療所が増えている。診療所再診料の引き下げは、地域医療を担う体力を更に低下させることに他ならない。
我々は今回の診療所の再診料引き下げに断固抗議する。
財源がないことを理由に診療所の再診料が引き下げられるが、「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円分(▲0.16%)が診療報酬本体の引き上げに使われず、全体の改定率が+0.03%(+100億円)にしかならないことが判明した。厚生労働省はこの財源について、後発医薬品の使用促進によるものであり、従来通り改定財源には含めないと主張している。しかし、「後発品のある先発品の追加引き下げ」は、処方せん様式の変更等により、調剤薬局が使用しやすい環境を作るなどのこれまでの後発医薬品の使用促進の手法とは異なり、先発品の薬価そのものを引き下げるものであり、当然診療報酬改定財源とすべきである。
これを改定財源とすれば病院、診療所とも71点で統一することは可能である。
そもそも三党連立政権合意で「医療費(GDP比)の先進国(OECD)並みの確保をめざす」としていたわけであり、これを踏まえるならば、「後発品のある先発品の追加引き下げ」で捻出される600億円はもちろん、従来の手法による「調剤薬局が後発品を使用しやすい環境を作る」ことで捻出される760億円の薬剤費削減分も当然技術料の改定財源に入れるべきである。
医療崩壊を食い止めるためには診療報酬の底上げが必要であり、補正予算を含めて診療報酬の更なる引き上げ、再診料の引き上げを求めるものである。
以上