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行政刷新担当大臣 枝野 幸男 殿
内閣府副大臣(規制改革担当) 大塚 耕平 殿
厚生労働大臣 長妻 昭 殿
民主党衆議院議員 地域主権・規制改革研究会会長 玄葉 光一郎 殿
民主党衆議院議員 国民生活研究会会長 中野 寛成 殿
民主党衆議院議員 国民生活研究会副会長 藤村 修 殿
民主党参議院議員 国民生活研究会副会長 桜井 充 殿
内閣府大臣政務官 田村 謙治 殿


2010年4月22日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

混合診療の原則解禁に断固反対し、保険医療の抜本的拡充を要望します


前略 国民医療確保に対するご尽力に敬意を表します。
さて、行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会は、保険外併用療養費(いわゆる「混合診療」)の原則解禁を検討テーマの筆頭に掲げ、月内にも基本的な方向性を固めると伝えられています。当会は混合診療を原則解禁することについては断固反対します。 
第1に、混合診療の原則解禁によって、保険外診療が際限なく拡大・固定化し、少ない自己負担どころか患者負担は増大することになります。いまでも窓口負担3割に加えて、差額ベッドなどの保険外負担は患者とその家族に過重な負担を強いています。保険外診療の費用負担ができる人のみが最新の医療を受けることができ、すべての患者、国民があまねく最新の医療を受けることができなくなります。経済的理由による医療格差を拡大するものです。
第2に、新たな医療技術や画期的な新薬、治療材料が公的保険の対象とされず、保険外診療として固定化されるならば、公的保険の給付範囲の縮小につながります。普遍性のある医療は、公的保険の対象とし、すべての患者、国民が受けられるようにすべきです。医学・医療の発展の恩恵をあまねく国民すべてが享受できるようにすることこそ医師、医学者の倫理です。
第3に、解禁の手法について、「届け出方式」にするとの意見が報じられていますが、医療は患者の生命にかかわる分野であり、安全性・有効性が確立されていない保険外診療によって被害が起きた場合、その責任の所在、被害者補償をどのようにするのか、根本問題を曖昧にしたまま、拙速な議論を行うべきではありません。
長妻昭厚生労働大臣は3月30日の参議院厚生労働委員会で、混合診療を解禁することについて、▽保険外の負担を求めることが一般化する恐れがある▽科学的根拠のない特殊な医療が増える可能性がある−として、「慎重な議論が必要だと考えている」と述べています。
安全性・有効性が確立され、普遍性のある医療は、速やかに公的保険の対象とすべきです。また、先進医療を含めて安全性・有効性が未だ確立されきれていない研究的な医療については、国費の科学研究費で給付することを求めます。さらに、画期的新薬や治療材料の承認期間を大幅に短縮することができる承認機関の拡充が必要です。
難病・慢性疾患の患者・家族団体のナショナルセンターである日本難病・疾病団体協議会や日本医師会も混合診療の原則解禁に反対しています。いま急がれているのは、混合診療の原則解禁ではなく、保険診療の抜本的拡充への転換です。
政権与党の民主党は昨年の総選挙で発表した「医療政策〈詳細版〉」で、「新しい医療技術、医薬品について、効果や安全性が確立されたものについて、速やかに保険適用する」ことを掲げています。当会の政策アンケートへの回答では、「混合診療の解禁を行わない。保険医療を原則とする」ことを明記されました。公約の実現に向けて尽力されることを強く要望します。