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温室効果ガス25%削減に向けて実効ある対策を
―地球温暖化対策基本法案の抜本的な修正を
2010年5月13日
全国保険医団体連合会
公害環境対策部長 野本哲夫
2020年の温室効果ガス排出量を1990年比25%削減する中期目標などを盛り込んだ「地球温暖化対策基本法案」が、衆院環境委員会で審議されている。
鳩山内閣が昨年9月に打ち出した、温室効果ガスの25%削減が法案に明記されたことは、自公政権と比較しても、前進面として評価できる。
しかし、25%削減に反対する財界に配慮し、「すべての主要国が公平で実効性ある国際的枠組みを構築し、意欲的な目標を合意した場合」との前提条件が書き込まれたことは、先進国に求められる主導的な役割を放棄したと言わざるを得ない。これでは、国際交渉が進展しない限り対策がすすまない恐れがある。
また、排出量取引制度については、企業に温室効果ガス排出量の上限を課す「総量規制方式」ではなく、産業界に配慮し、負担の少ない「原単位方式」も検討することが盛り込まれている。原単位方式は生産量の増加に伴い排出量が増えるため、総量規制の担保にはならない。
さらに、見逃せないのは、法案に原発推進が明記されていることである。原発は、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)も、安全性や核兵器拡散、核廃棄物の問題を指摘するなど、技術的にも未確立で安全性が十分に確認されていない。原発に頼る温暖化対策は、地震大国・日本では非常に危険である。
温室効果ガスの25%削減は、最大の排出量である産業界での実質的な削減と、
エネルギー政策の重点を自然エネルギーに転換することなしには不可能である。
欧州各国で実績をあげている政府と産業界との間の公的な削減協定制度の導入など、25%削減を確実に達成できる実効ある対策を導入すべきである。
日本の平均気温は、今世紀末までの100年で2.1〜4.0度上昇し、世界平均より0.3〜0.6度も上昇幅が大きいと予測されている。まさに、地球温暖化の原因である温室効果ガスの大幅な削減は待ったなしの課題である。
本会は、鳩山政権が自ら表明した温室効果ガスの削減目標を具体化するために、地球温暖化対策基本法案の抜本的な修正を強く求めるものである。
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