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厚生労働大臣 長妻 昭 様


2010年9月10日
全国保険医団体連合会
会長 住江 憲勇

長妻厚生労働大臣の国会答弁を踏まえ、あらためて介護療養病床廃止の撤回を求めます

 前略 国民医療の確保に対するご尽力に敬意を表します。
さて、9月8日に開催されました衆議院厚生労働委員会で長妻厚労大臣は、「平成23年度末に介護療養病床を全廃することは、これはもう困難だ」と述べられ、「猶予の期間を置いてそれから廃止するのか、あるいは廃止そのものをやめて存続するかということについては、検討をしていきたい」と答弁され、廃止を撤回するか、廃止期限を延長するかについて年末までに結論を出し、来年の通常国会に法案を提出する考えを示されました。
全国保険医団体連合会は、介護療養病床廃止が提案されて以来、一貫して廃止の撤回を求めてきましたが、平成23年度末の廃止は困難と判断された長妻厚労大臣の国会答弁は、介護療養病床をめぐる実態を把握されたものです。

しかし、「廃止の撤回か、それとも廃止期限の延長か」を年末までに決めると答弁されましたが、廃止期限の延長では問題が先送りされるだけです。
昨年10〜11月に当会が行った、「急性期病院に対する療養病床削減に関する影響調査(12都府県:247病院)」では、@現在でも後方病院が不足、A介護療養型老人保健施設は受け皿として不十分、B療養病床の維持・増加が必要であることが明らかとなりました。
また、今年1月に実施した「医療機関における療養病床削減に関する影響調査(24都道府県634医療機関)」では、@医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定程度担っている、A「地域における必要性を認め、介護療養病床存続方針にすべき」との意見が大勢である、B介護療養型老人保健施設は、人員基準の引き下げにより必要な対応が図られなくなることがネックであること等が判明しました。

 介護療養病床の転換先として創設された介護療養型老人保健施設は、夜間の医師や看護職員の配置が手薄く、現在の入院患者を入院させ続けることは困難です。このため、介護療養型老人保健施設へ転換を希望する医療機関は厚労省調査でも13%しかありません。また、医療療養病床への転換意向が22%ありますが、看護要員を大幅に増やさなくてはならず、現実的ではありません。さらに、介護療養病床の61%は対応未定です。
高齢化社会の中で、介護療養病床への入院を要する高齢者はますます増えています。いま必要なことは介護療養病床の廃止を撤回し、その機能と役割を評価することです。
以上を踏まえ、次の実現を図っていただけますよう、強く要望いたします。

    • 介護療養病床廃止そのものを撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。