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2010年10月6日

受診抑制を拡大する70歳から74歳の
窓口負担1割の引き上げは容認できない

 全国保険医団体連合会
政策部長 三浦 清春

 

 高齢者医療制度改革会議の「中間とりまとめ」では、70歳から74歳の1割の窓口負担について、「そのあり方について引き続き検討する」とされているが、一部マスコミは、2割負担への引き上げを既定方針とするような報道を行った。

 高齢者の受診抑制については、近藤克則日本福祉大学教授が、第4回高齢者医療制度改革会議に、65歳以上の高齢者の所得と受診の関連について行われた調査資料を提出している。
当該調査結果によれば、所得が低いほど、過去1年間に治療を控えたことがあると回答しており、年齢の違いを考慮しても、高所得者の9.3%に対し、低所得者では13.3%が受診を控えているとの結果が示されている。また、低所得者ほど、その理由として「費用」を挙げる割合が高くなっており、高所得者10.6%に対し、低所得者は32.8%となっている。現在の自己負担でも、高齢者層に受診抑制が起きていることが明らかとなっている。窓口負担の軽減こそ急務であるにもかかわらず、高齢者の窓口負担を現状より引き上げることは容認できるものではない。

 当連合会は、厚生労働政務三役に提出した「『中間とりまとめ』に対する意見」において、「70歳から74歳の窓口1割負担を引き上げない」よう求めている。
しかし、11年度予算編成に向けた厚労省提出の概算要求では、「現行の高齢者医療制度の負担軽減措置の継続」は、予算額を示さない「事項要求」となっている。11年度以降も1割負担を引き上げないよう、金額を示して要求すべきである。

 我が国の窓口負担は、世界的に見て異常に高く、現状でも受診抑制の大きな要因になっている。私たちは、社会保障としての医療を守る立場から窓口負担の大幅な軽減を要求しているが、それに逆行する今回の窓口負担の引き上げには断固反対するものである。

以上