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患者負担の大幅軽減、診療報酬・介護報酬引き上げ、消費税増税中止
など
医療、社会保障拡充への政治を求める決議
 

 

今日、多くの国民の中に政治と社会への閉塞感が広がっている。しかし、菅政権は、財政危機と言いながら、財界とアメリカの要求を最優先し、法人税減税で1兆5000億円をばらまき、軍事力強化のために今後5年間で23兆5000億円もの予算を投入、消費税増税に「政治生命をかける」と宣言するなど、一昨年の総選挙で国民が民主党に期待した「国民の生活が第一」の公約を投げ捨てて、小泉構造改革以上の新自由主義路線を急速に進めている。

また、社会保障と税の一体改革を掲げ、社会保障を口実に6月までに消費税増税と「共通番号制」の成案をまとめるとしている。さらに、医療ツーリズムや環太平洋連携協定(TPP)への参加を突破口にした医療の市場化拡大、高齢者医療制度「改革」と国保の都道府県単位の広域化を通じて、国民皆保険制度に対する国の責任を放棄し、地方自治体に責任を押し付け、一層の医療費抑制を競わせる計画である。

こうした政策は、国民の安心と生活を壊し、健康格差を広げるだけでなく、内需を冷え込ませ、経済も財政も悪化させる危険な道にほかならない。閉塞状況を打破するためにも、国と大企業の責任で、雇用環境を抜本改善し、社会保障を拡充することが政治の緊急課題である。

国民皆保険制度が発足して50年目に当たる2011年は、統一地方選挙の年でもある。医療、社会保障を拡充する政治への転換を目指す出発点として、我々は以下の要求を掲げ、患者、国民と連携してその実現に向け奮闘するものである。

一、患者窓口負担の大幅軽減、保険証の全国民への交付、高額療養費制度の負担限度額の軽減を行うこと。
一、後期高齢者医療制度はただちに廃止し、高齢者の窓口負担無料化など、安心して医療を受けられる制度とすること。国保の広域化を止め、国庫負担を増額すること。
一、安全性、有効性が担保された技術や材料を速やかに正当に評価して保険導入すること。混合診療(保険外併用療養)の拡大、解禁を行わないこと。
一、軽度者の給付制限を止め、利用者負担を軽減し、介護報酬を引き上げること。介護療養病床を存続すること。
一、消費税増税を中止し、医療をはじめとする生活必需品へのゼロ税率を適用すること。保険診療の事業税非課税措置を存続し、租税特別措置も当面存続すること。
一、社会保障財源は、所得再配分機能を活かして国と大企業、大資産家の負担を増やして確保すること。
一、医療費総枠をOECD加盟国平均より引き上げ、診療報酬を大幅に引き上げること。
一、崩壊しつつある歯科医療を立て直すため、早急に技術料を大幅に引き上げること。
一、保険医の人権を侵害し、患者の療養権を奪う指導、監査のあり方を抜本的に是正すること。全国の低位平準化による審査強化をやめること。
一、将来にわたって自主共済が存続できるようにすること。実態をふまえた保険業法再改定法の政省令とすること。
一、医療の市場化拡大を狙う医療ツーリズムやTPP参加を中止すること。

以上、決議する。


2011年1月30日
全国保険医団体連合会第43回臨時大会